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障がい者差別の根絶へ
旧優生保護法を教訓に政府が行動計画
障がいなどを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法(メモ)(旧法)を教訓に、障がい者に対する偏見や差別のない共生社会を実現させなければならない――。旧法を憲法違反とした最高裁判決を受け、政府の対策推進本部は昨年12月27日、障がい者の生活支援や公務員の意識改革など国の取り組みを盛り込んだ行動計画を決定した。計画の内容を解説するとともに、公明党旧優生保護法被害補償等検討プロジェクトチーム(PT)の佐藤英道座長(国会対策委員長)のコメントを紹介する。
行動計画は、旧法を執行してきた政府が反省の上に立って、障がい者に対する偏見や差別の根絶へ、旧法下で被害を受けた原告団を含む障がい当事者らの意見を聴いた上で、必要な対応策を取りまとめた。
忘れてならないのは、旧法の背景に、遺伝する病気や障がいのある人を「不良」と見なし、社会の繁栄のために子孫の出生を防ぐという「優生思想」があったことだ。1996年に母体保護法へと改正された際、優生思想に関する条文は削除されたが、約半世紀にわたって多くの障がい者の個人の尊厳を侵害し、苦難と苦痛を強いてきた。
このため計画の冒頭では、旧法下の強制不妊手術に関し「真摯に反省し、二度と繰り返さない」と強調。障がい者への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障がいの社会モデル」の考え方を示した。
■結婚、出産など希望を後押し
具体的に取り組む事項については、大きく三つに分類される。
一つは「子育てなどの希望する生活の実現に向けた支援」だ。「障がいの有無にかかわらず、恋愛や出産など、やりたいことを自由にできる社会になってほしい」との訴えに応える必要がある。
そこで、政府が昨年6月にまとめた、自治体やグループホームなどにおける結婚・出産・子育て支援に関する取り組みの事例集について、研修やイベントで周知するとともに、当事者にも分かりやすいリーフレットを作成する。
何でも相談でき、地域で安心して暮らせることも重要だ。妊産婦、子育て家庭、子どもを対象とした「こども家庭センター」での相談対応を充実させるとともに、地域の相談支援の中核的役割を担う「基幹相談支援センター」や、施設などからの地域移行の推進を担う「地域生活支援拠点」などの整備を促進していく。
■公務員の意識改革や学校・企業への支援も
次に「公務員の意識改革」が挙げられる。現状では、不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供に関し、職員が適切に対応するための「対応要領」の周知頻度が少ない。このため、対応要領を毎年1回以上、全職員に周知するほか、2025年度に行う研修には旧法の歴史的経緯や被害者の声を取り入れたり、障がい者を講師に招いたりする。
三つ目は、心身の特性にかかわらず個性を尊重し合う「心のバリアフリー」の推進だ。特別支援学校と通常の学校のいずれかを一体的に運営し、障がいの有無を問わず共に学ぶインクルーシブ(包摂的)な学校運営モデルの構築や、障がい者を雇用する企業への支援などを進める。障がい者と直接接する機会が増えることは、社会全体の理解を深める上でも意味は大きい。
今後に向けたさらなる検討事項を巡っては、国会による旧法に関する調査・検証の結果も踏まえるとした。例えば、人権侵害に迅速に対応する体制の構築などを想定している。
政府は今後、計画を継続的にフォローアップするとともに、計画の内容については障がい者らの意見を踏まえ、障がい者施策の基本的方向を定めた「障害者基本計画」の次期計画などにも反映させる方針だ。
■今後も党を挙げて人権守る
党被害補償等検討PT 佐藤英道座長
行動計画は障がい者らの意見を基に作成した点で画期的だ。障がいのある人が結婚・出産・子育てをする上で何でも相談できる窓口や、第三者の支援に関する取り組みなど、党の主張も数多く盛り込まれた。
公明党は、どの党よりも真剣に人権を守る闘いを貫いてきた。旧法の被害者や支援者らからも直接話を伺い、強制不妊手術に関する歴史的事実を後世に残し、記憶の風化を防ぐよう政府に訴えてきた。
今後も党を挙げて障がい者に対する偏見や差別の根絶に全力を尽くすとともに、行動計画の内容を次期障害者基本計画などにも適切に反映させていきたい。
・メモ 旧優生保護法
1948年に成立。障がいや精神疾患を理由に本人の同意がない不妊や中絶の手術を認め、法改正された96年までに約2万5000人が不妊手術を受けた。被害者救済に向けて2019年には、不妊手術を受けた人に320万円の一時金を支給する救済法が成立。さらに旧法を違憲とした昨年7月の最高裁判決を受け、同10月には公明党を含む超党派の議員立法で補償金などを支給する法律が成立し、今年1月17日から施行される。









