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コラム「北斗七星」
昨年末から年始にかけての休みは長く、公務員などは9連休。連休に友人に会い、旧交を温めた人も多かったろう。友人や親族との絆を深めるとともに、読書に時間を費やした人がいるかもしれない◆本紙にも寄稿している作家・松本侑子さんのSNSで紹介され、前から気になっていた『北風のうしろの国』(上下巻 岩波少年文庫 ジョージ・マクドナルド著 脇明子訳)を年始、夢中になって読んだ◆英国・ロンドンに住む御者の息子のダイヤモンド少年が主人公。ある夜、彼は女性の姿をした北風に抱かれ、何夜かをかけて断続的にロンドンのまちや嵐の海などさまざまな場所を経巡る。そして北風のうしろの国から帰ってきたダイヤモンドは、老若男女問わず、その純真な心で励ましていく。児童文学ながら、ひねた大人の心にも刻まれる文章が多く驚いた◆こんな一節がある〈自分が元気になりたいと思ったら、そのたったひとつの方法は、まわりの人たちを元気づけてあげることだ〉。行き詰まった父母を励まそうと、彼は赤ちゃんを上手にあやす。子どもが笑うとその笑いは伝染し、一家が笑顔になる◆人間主義の賛歌に満ちていて、よし、頑張ろうとの思いがわき上がって来た。(唄)