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2025年1月9日

ドライバー不足の克服へ、導入進む自動運転バス

「レベル4」での無人運行 
自治体や民間事業者が実施 
自動運転レベルの基準はシステム関与の強さ

身近な地域の足であるバスは、運転手の人手不足などによる路線廃止や減便が全国各地で相次いでいる。こうした中、注目されているのが自動運転技術の活用だ。政府は2025年度に50カ所程度、27年度に100カ所以上で自動運転バスなどの導入をめざしている。国や自治体の取り組みについて解説する。

国が定義する自動運転レベルは、「自動化なし」のレベル0以外に五つある。レベル3までは運転手の乗車が必要で、レベル4以降は乗車不要である点が大きな違いだ。

バスの運転手不足に対応するには、レベル4の導入が必須となる。このため国はレベル4の自動運転バスが運行できるよう、23年4月に道路交通法を改正した。

その後、各地で実証実験が行われ、一部地域ではレベル4の自動運転バスを運行する自治体や民間事業者が出始めている。

最初にレベル4の運行認可が下りたのは福井県永平寺町で、23年5月からサービスを開始。同町では、自転車と歩行者の専用道路を利用し、約2キロメートルの区間で小型電動カートを走らせている。

民間事業者では、建設大手の鹿島などが昨年7月、東京都大田区の羽田空港に隣接する複合施設の敷地内で、民間初のレベル4による自動運転バスの運行をスタートさせた。

路線バスでは、愛媛県松山市の伊予鉄グループが昨年12月25日、レベル4で全国初の運行を始めた。伊予鉄道高浜駅―松山観光港の800メートル区間を最高速度35キロメートルで走る。

無人走行ではあるが、安全対策として保安員1人が乗務している。

レベル1、2はシステムによる自動運転のサポートが行われる一方で、常に運転手が運行状況を監視しなければならない。レベル2では手放し運転などが可能だ。

レベル3では運転手の監視義務がなくなるものの、緊急時には運転手が運転を代わる必要がある。

レベル4になると運転手の乗車は不要で、決められたエリアであれば、ルートや速度など特定の条件下で公道を走ることができる。

レベル5は完全自動運転で、走行エリアに関係なく道路を自動運転車が走行できる。ただ、道路の状況を把握しながら安全に走行するには、人工知能(AI)などを使った高度なシステムが必要で、技術的なハードルは高い。

■技術、費用面で国も支援

自動運転バスの導入に向け、政府も各地の実証実験などを支援している。

総務省では、主に自動運転に必要な通信面の課題解決をめざし、24年度は七つの地域・団体を選定しモデル事業を推進中だ。

■東京・狛江市、最先端のローカル5G活用

自動運転バスのモデル事業を視察する斉藤代表(前列中央)ら=昨年12月12日 東京・狛江市

このうち東京都狛江市は昨年4月から、NTT東日本などとの共同で、限定されたエリアで使う最先端の無線ネットワーク「ローカル5G」を活用した自動運転の実証実験を進めている。現在はレベル2で運行されており、昨年12月には公明党の斉藤鉄夫代表が視察した。

同市の自動運転バスは、車両本体に加え、運行ルート上にある交差点などにもカメラやセンサーが設置され、自動運行に必要な情報がローカル5Gなどで車両や遠隔監視拠点へ配信される仕組みだ。

同市では現在、大規模団地の再開発が進められ、27年に人口の急増が見込まれている。住民の足を確保する手だてとして、自動運転バスへの期待は大きい。

このほか国土交通省では、車両の購入費やリース代、保安要員の人件費、運行計画の策定に必要な調査費などへの支援事業を実施。これまでに94自治体の99事業をサポートしている。

自動運転技術について公明党は、先の衆院選の重点政策で導入推進を主張。政府が昨年11月に策定した総合経済対策に導入を支援する方針が盛り込まれた。

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