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高齢化するひきこもり――東京からの報告(上)
当事者の集い
心の葛藤 言葉に出し合う
「ひ老会」境遇に共感、答え見いだす
当事者の話に耳を傾ける池井多さん(左から2人目)=画像は一部加工しています
ひきこもりの子どもは50代、その世話をする親は80代という「8050問題」に象徴される“ひきこもりの高齢化”――。内閣府が今年3月に発表した推計では、40~64歳の中高年層のひきこもりは全国で約61.3万人にも上る。ひきこもりが長期化し、親も子も高齢になることで、生活上の困窮や、親なき後の子どもの将来を案じる相談も増加している。高齢化する、ひきこもりと向き合う人々の活動を東京で追った。
土曜日の午後、都内の会場にポツポツと人が集まってきた。いずれも、ひきこもりの当事者や経験者。家族や支援者の姿もある。この集まりは「ひ老会(ひきこもりと老いを考える会)」。「8050問題」をひきこもり当事者が語り、考える会だ。2年前から始まり、おおむね2カ月に1度、開かれている。
この日は、都内外から約20人が参加。白髪をきれいに整えた当事者もいれば、同じような年代の親もいる。インターネットで、ひ老会を知り、数カ月ぶりに外出したという女性もいた。
冒頭、この会を企画する「チームぼそっと」主宰の、ぼそっと池井多(ペンネーム)さん(57)に促され、一人一人が自己紹介を兼ねて、自身の境遇を話し出した。
不登校や家族との確執、長時間労働によるうつ病の発症……。いずれも、ひきこもった原因は一つだけではなく、複合的。男性の一人は「30歳までひきこもり、一度働いてみたが、長く続かず、また、ひきこもるようになった」と語った。
この集まりを池井多さんは「専門家などが来て、答えを与えるわけではない」と指摘する。一方、「同じような問題を抱えた他者の言葉は、自分にも適用できるヒントが詰まっているので、それに耳を澄ます。さらに、心の中の葛藤を言葉にして聴いてもらうことで自ら答えを見いだせる」という。
池井多さん自身も、ひきこもり当事者だ。国立大学を卒業し、大手企業に内定するも、うつ病を発症。これ以降、30年にわたって断続的にひきこもっている。現在は体調を見つつ、ひきこもり関連イベントの企画に携わるほか、海外のひきこもり当事者へのインタビューなどにも取り組む。
ひ老会を開くようになった理由が池井多さんにはある。“「8050問題」が親やメディアから語られることは多かったものの、当事者の立場から語られることが少ない”。そんな問題意識からだ。
当事者同士だからこそ共感できることがある。「切符の買い方が分からない。実際にやったことがないから。外に出ても恥ずかしさを覚える」「いろいろな技術が進歩して世の中は変化しているけど、年齢を重ねると、今から入っていく気になれない」――。ひ老会で交わされる言葉に、当事者らは大きくうなずいていた。
「8050問題」といっても、当事者一人一人の状況は異なる。ひ老会のような集まりに足を運べる人もいれば、家から出ることが難しい人もいる。年老いた親をはじめ、周囲がどのように当事者に寄り添い、支援できるのか、知恵を絞るしかない。









