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2019年8月21日

高齢化するひきこもり――東京からの報告(下)

家族会の活動 
訪問相談など 行政の支援態勢も強化へ 
約20団体 親が集まり孤立防ぐ

「楽の会リーラ」の交流会を訪れたひきこもりの子どもを抱える母親(手前)

ひきこもりの当事者を抱える家族にとって、身近な場所に相談先があることは、孤立を防ぐために重要だ。東京都内には約20の家族会がある。その一つで、豊島区に拠点を置くNPO法人「楽の会リーラ」の交流会に足を運んだ。

交流会では、当事者の親を中心に、約70人が10人ぐらいのグループに分かれて話し合っていた。内容はさまざま。「親の価値観、わが子の価値観の違い」「親を“休む”とは」「無言のわが子へどう接するか」など、いずれも当事者に共通する悩みである。

グループの輪の中に、40歳代の子どもが精神障がいでひきこもり状態という埼玉県から来た70歳代の女性がいた。その女性がエピソードを語ると、参加者から驚きの声が上がった。今の住居に引っ越した時に、親子一緒に近所をあいさつ回りしたことで「子どもが近隣の人と世間話をするようになった」のだという。

楽の会リーラの市川乙允事務局長は、こうした家族会を都内の各自治体ごとに設けられるよう、立ち上げのサポートをしている。「家族会同士で連携しながら、行政と力を合わせ、ひきこもっていても地域で暮らし続けていけるように環境を整えていきたい」

家族会に加え、支援団体の動きもある。「親が死んだらどうしよう?」と思い悩む親の声から生まれた一般社団法人「OSDよりそいネットワーク」。不動産やお金に関して、当事者の親が先に亡くなったケースで起こりうる心配事への対応について、弁護士、司法書士、税理士などの専門家が相談に応じている。

ひきこもりの高齢化に伴い、行政側の支援態勢も変わりつつある。東京都町田市は2012年に、いち早く20~64歳の市民を対象にひきこもりのアンケートを実施。これを踏まえ、各支援機関とともに、当事者や家族に向けたパンフレットを作成し、民生委員や町内会を通じて配布した。また、保健所がワンストップの窓口として、支援に当たっている。

東京都はこれまで、ひきこもり支援事業を青少年担当の部署が所管し、訪問相談の対象を「おおむね34歳まで」に限定してきた。都議会公明党(東村邦浩幹事長)の強力な推進により、所管を福祉保健担当の部署に移し、年齢制限を撤廃した。

一方で、行政に対して「高齢のひきこもりへの支援態勢は、まだ不十分」との指摘もある。長期化、高齢化したひきこもり当事者と家族の悩みは切実で複雑、深刻なものばかり。しかも、着実に年老いていく。当事者やその家族の声を踏まえた支援のあり方の検討と実施が急がれている。【この連載は社会部の近藤信幸が担当しました】

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