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【主張】健康寿命の延伸 地域で支える取り組み広げたい
今年は「団塊の世代」の全員が75歳以上になり、総人口の約5人に1人が後期高齢者となる。人生100年時代と言われる中、高齢になっても元気で生き生きと暮らせるよう、健康上の問題がなく日常生活を送れる「健康寿命」の延伸に力を入れる1年としたい。
健康寿命は厚生労働省が3年ごとに調査しており、昨年末に公表された最新の推計値では、2022年時点で男性72.57歳、女性75.45歳だった。01年時点と比べると、男性は3.17歳、女性は2.8歳延びている。医療技術の進歩とともに、国民の健康づくりへの意識が高まっている表れとも言えよう。
重要なのは、平均寿命の延びを上回って健康寿命を延ばし、寝たきりや要介護状態といった日常生活に支障がある期間をできるだけ短くしていくことだ。
22年の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳であり、健康寿命との差は男性が8.49年、女性が11.63年となっている。縮小傾向は続いているものの、より健康で長生きできるよう、取り組みを進めていく必要がある。
公明党は昨年、社会保障を中心とする日本の将来像「2040ビジョン」の中間取りまとめを発表し、健康寿命の延伸に向けて「地域の特性に合わせた介護予防戦略」の展開を掲げた。具体的には、高齢者の社会参加を促す環境整備や、住んでいるだけで健康になれる街づくりを進めていく。
高齢者の社会参加で注目される取り組みは、地域の「通いの場」(サロン)の整備だ。住民が集いやすい場を確保して、体操やお茶会などの多彩な活動を住民主体で定期的に行うもので、要介護認定率の低下といった成果を挙げている。参考になる好事例を全国に広げていくべきだ。
また、歩きやすい、緑が多いといった街づくりは、意識しなくても自然と健康に良い行動を取ることにつながる。国民一人一人の意識の高まりに合わせて、社会の環境改善を積み重ね、地域を挙げた総合力で健康寿命を延ばしていきたい。