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コラム「北斗七星」
今年11月、核兵器廃絶に向けて各国の科学者が議論する「パグウォッシュ会議」世界大会が広島市で開かれる。広島開催は20年ぶり◆同会議は、哲学者のラッセル、物理学者のアインシュタインらの呼び掛けを受けて1957年に発足。科学技術が生み出した核兵器に向き合い、核軍縮や地域紛争の解決に取り組んできた。95年にはノーベル平和賞を受賞している◆2005年広島大会の頃は、東西冷戦終結で生まれた核軍縮の機運も消え、パキスタン、北朝鮮が核実験を強行。米同時多発テロからイラク戦争へとテロの脅威が高まった時代である。同年の核不拡散条約(NPT)再検討会議も中東と西側の対立が激化し失敗に終わる◆果たして、この20年間で核のリスクは増大した。「重大な地域紛争が勃発すれば、核兵器の対峙状態はコントロール不能な段階にまでエスカレートする」とした前回の「広島宣言」は、まさに現在の状況を警告していたかのようだ◆ロシアのウクライナ侵略開始以来、核兵器使用の敷居が下がり二度と使われてはならないという「核のタブー」の崩壊が懸念されている。「被爆80年」の今年こそ、これにあらがう「核なき世界」への揺るぎない流れをつくりたい。(中)