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コラム「北斗七星」
ほぼ半世紀前の作品ながら、有吉佐和子さんの小説『青い壺』が文庫本ベストセラーに名を連ねている。ある陶芸家が制作した青磁の壺が売られ、贈られ、盗まれ、人から人へと渡り歩く全13話で構成される作品だ◆第5話に「白内障手術」を受けた老母・鈴木キヨと介護してきた娘・千代子が登場する。白内障手術でキヨが光のある日常を取り戻せたことが、二人は心底うれしかった。そこで知人から譲り受けた“宝物”の壺を執刀医にプレゼントしたという内容◆白内障手術といえば公明党。保険適用の実現で手術件数が飛躍的に伸びた。キヨと千代子の喜ぶ様子が本紙で何度も取り上げてきた体験談と重なり、ひときわ味わい深く感じる◆有吉さんは、数々の名作に、市井の人々の日常や心の機微を分かりやすい文章で描いた。『青い壺』が時代を超えて、令和の人々を引きつけている秘訣も、ここにあるのだろう◆“壺”といえば「人口ピラミッド」(底辺が0歳、頂点が最高年齢)。子どもが少なく高年齢層が多い「壺型」である。シルエットからうかがい知れる少子高齢化や人口減少などの諸課題の解決に公明党は全力を注ぐ。そこから生まれる、人々の心に響く不朽の物語を伝えていきたい。(青)