ニュース
【主張】交通空白地の解消 官民で新たな移動手段の構築を
過疎地域や高齢化が進む地域の“移動の足”を確保するため、官民挙げて新たな移動手段の仕組みづくりを進める必要がある。
国土交通省は、半径1キロメートル以内にバス停や駅がなくタクシーを依頼しても配車に30分以上かかるような地域を「交通空白地」の目安とし、対策を強化する。交通手段が少ない自治体と交通事業者らをつなぐ全国協議体を新設し、25日に167の組織や団体が参加して初会合が開催された。
人口減少や運転手不足の影響により、地方を中心に鉄道やバス、タクシー事業は縮小や撤退を余儀なくされている。自治体などが運営主体となって個人が自家用車を使い有償で客を運ぶ「公共ライドシェア」といった代替手段の普及を加速させていかねばならない。
新設した協議体では、鉄道会社の社員や物流事業者の配達員らが公共ライドシェアの運転手を担うことなどを検討する。マッチングできた取り組みのうち全国に拡大できる事業を選び、来年度には国交省が費用の一部を補助して実証実験を行う方向だ。
さらに、4月から導入されたタクシー会社が運営する「日本版ライドシェア」も効果の検証を進めたい。
地域の交通ネットワークを維持するために、幅広い分野の民間事業者が持つ人材や輸送サービスのノウハウを生かしていくことは重要だ。その点で官民連携を促す協議体が設立されたのは大きな意義がある。
新たな交通手段を構築する上で大切なのは、住民のニーズを的確に把握することだ。三重県南伊勢町では住民や民間事業者、自治体らが参加する「地域公共交通会議」が中心となり、事業計画を立案。NPO法人と協力して公共ライドシェアを運行したり、必要な時に利用できる予約制の「デマンドバス」の実現につなげている。こうした好事例を全国に広げたい。
公明党は先の衆院選重点政策でも交通空白地の解消を掲げ、各地で取り組みを推進している。引き続き、地域住民の“足”の確保へ全力で取り組んでいく。