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与党第8次提言 「人間の復興」成し遂げる
創生期間後へ道筋示す
防災・減災 司令塔的機能を強化
井上副代表に聞く
自民、公明の与党両党の東日本大震災復興加速化本部は5日、安倍晋三首相に対し、2021年3月末に設置期限を終える復興庁の存続などを盛り込んだ第8次提言を行いました。公明党の復興加速化本部長である井上義久副代表に、今回の提言の内容と意義について聞きました。
――「復興・創生期間」が21年3月末で終了することを踏まえ、今回の提言では、期間後の復興の道筋に言及しました。
井上義久副代表 国が被災地を重点支援する「復興・創生期間」は、あと1年半余りとなりました。被災地では、インフラの整備や住宅の再建が着実に進んでいます。
しかし、被災者一人一人にとってみれば、津波で一瞬にして肉親や家、地域の文化や伝統、コミュニティー(共同体)を奪われており、その喪失感は想像を絶するものがあります。生きる意味を取り戻し、再び生きた証しを積み重ねることは並大抵のことではありません。時間がかかります。
だからこそ、公明党は一貫して人間としての「心の復興」「人間の復興」という理念を掲げ、どこまでも被災者に寄り添ってきました。第8次提言も、この方針にのっとり、津波被災地のコミュニティー再生をはじめ、地域ごとの課題と向き合い、「復興・創生期間」の総仕上げを行うためのものです。
特に福島の再生は、中長期的な課題が多く、国が前面に立ち、責任を持って成し遂げるよう訴えました。同期間終了後も「心の復興」「人間の復興」のための施策を前進させなければなりません。
復興庁存続は被災地の強い要望
――復興庁の後継組織について、与党がどう提言するかが注目されました。
井上 公明党復興加速化本部として、今年は3月から4月にかけ、岩手、宮城、福島の被災3県を訪れるなど、復興状況の調査を積み重ね、被災者や被災地の声に耳を傾けてきました。そうした中で、現在の復興庁を継続させることについては被災自治体の首長などから強い要望がありました。
提言では、復興庁は引き続き首相直轄の組織として、専任の復興相を配置。復興施策の企画・立案や復興事業予算の一括要求ができるほか、地域の要望や課題にワンストップ(1カ所)で対応できる機能を維持させるよう求めました。
――新しい防災体制のあり方として、内閣官房、内閣府に分散する司令塔的機能を一元化するよう提言していますが。
井上 近年、自然災害が多発する中、公明党は「防災・減災」を政治、社会の主流にと訴えています。昨年の大阪府北部地震や北海道胆振東部地震なども記憶に新しいところですが、わが国は多くの自然災害に見舞われながら、社会全体で人命を守らねばならないという経験や教訓を蓄積してきました。政府が国民に対し、防災・減災の重要性を一層、積極的に発信することが課題だと考えています。
今回の提言では、「防災・減災」や「復旧・復興」、緊急対応を一元的に扱う司令塔的機能を強化すべきだと指摘しています。安倍首相に申し入れた際、「東日本大震災から8年5カ月、復興に取り組む中で、『防災・減災』『復旧・復興』に関わる人材が育ってきている。今が防災機能を強化するチャンスだ」と強調しました。首相も災害対応を多く経験し、そういう必要性を認識しているのではないでしょうか。
――最後に、さらなる復興加速に向けた決意を。
井上 政府・与党で連携し、今回の提言内容を具体化していきます。これまでも提言に基づき、政府が具体案と予算の確保を行ってきました。これからも引き続き被災者に寄り添い、そのニーズに的確に対応していきます。風評、風化という“二つの風”と闘いながら、一人一人が「心の復興」「人間の復興」を成し遂げるその日まで総力を挙げていきます。