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2024年11月13日

避難所の環境改善へ

「スフィア基準」導入を 
尊厳ある生活へ公明が提言

日本では、災害のたびに避難生活の“質”の問題が指摘される。公明党は避難所の環境改善へ、被災者が尊厳ある生活を営める最低基準を示す「スフィア基準」の導入などを先の衆院選の公約に掲げて取り組んでいる。同基準の内容とともに、支援現場から避難生活の質向上を訴える登山家・野口健さんのコメントを紹介する。

スフィア基準のポイント

スフィア基準は、1990年代にアフリカの難民キャンプで多くの人が亡くなったことを受け、紛争や災害を想定して国際赤十字などが作った。

基本理念として、▽被災者には尊厳ある生活を営む権利、支援を受ける権利がある▽苦痛を軽減するため、実行可能な手段が尽くされなくてはならない――の二つを掲げ、人道支援における考え方や最低限満たすべき基準を記載している。

主な支援分野では、▽水、衛生▽食料、栄養▽避難所、避難先の居住地▽保健医療――を挙げ、達成度を図るための指標として具体的な数値を示している。例えば、「1人1日当たり最低15リットルの水を確保」「1人当たりの居住空間は最低3.5平方メートル」「トイレは20人に一つ以上、男女比は1対3」のほか、プライバシーの確保など、避難所運営の際に目安として活用できる。

日本では、2011年の東日本大震災を踏まえて、16年4月に策定された国の避難所運営ガイドライン(指針)で、参考にすべき国際基準として同基準が明記され、自治体でも取り入れる動きが出てきた。公明党は7日、石破茂首相に提出した「総合経済対策」への提言で、スフィア基準の導入など避難所環境の大幅改善を訴えた。

この提言では、全国の避難所の総点検を実施し、TKB(トイレ、キッチン、ベッド)の迅速配備などによる避難所の環境改善に総力を挙げて取り組むよう要請。また、災害時に避難所となる学校体育館への空調設置については、5年をめどに設置率100%を実現するよう主張した。

前向きになれる空間に
支援続ける登山家の野口健さん

登山家・野口健さん

支援物資を届けるため東日本大震災の避難所を回った際、被災者は床にじかに敷いた布団に雑魚寝の状態だった。間仕切りもなく、「避難所はこういうものだ」と思っていたが、国際的な医療援助に携わる専門家の「日本の避難所はソマリアの難民キャンプ以下だ」との言葉に衝撃を受けた。

16年の熊本地震では、岡山県総社市などと協力して、車中泊する人たちを受け入れるテント村を熊本県益城町の総合運動公園内に開設し、最大時で571人が入居した。視察に来た専門家から「スフィア基準にマッチしている」と言われ、難民キャンプなどで活用されている国際基準があると知った。同基準も参考にしながら約1カ月半運営し、テント村から救急搬送される人は出なかった。

どの被災地を訪れても、日本の被災者は声を上げない。「我慢するのが当たり前」との風潮がある。熊本地震では、建物の崩壊などによる直接死よりも、避難生活に伴う体調悪化で亡くなる災害関連死が4倍以上だったことを考えると避難所の環境改善は重要だ。

雨風をしのぐだけでなく、傷ついた人たちの命をつなぎ、少しでも気持ちが前向きになれる空間でなければならない。イタリアでは、ボランティアが避難所運営にすぐに駆け付け、温かい料理を提供する体制を整えている。海外の事例も参考に、災害を念頭にした「日本版スフィア基準」のようなルールを作るべきだ。

“被災自治体任せ”に限界

1月の能登半島地震では、避難所の格差が露呈したと感じた。避難所運営は被災した基礎自治体が担うが、職員自身も被災して疲弊する中では限界があり、周辺自治体の協力体制を今以上に充実させる必要がある。また、最前線で活動する民間ボランティア団体が息の長い活動をするには、国の財政支援を含めたバックアップ強化が不可欠だ。

災害時の1日は平時の1日と違い、生きるか死ぬかに直結する。国では「防災庁」創設の動きがあるが、知識や経験が豊富な民間団体と綿密に連携した迅速な支援に向け、司令塔の役割を果たしてもらいたい。体育館の空調設置や段ボールベッドなど資材の備蓄を進めるとともに、テント村も選択肢の一つとして避難生活の質の向上へ議論を加速させるべきだ。

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