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2024年11月13日

【主張】公益通報制度 不正訴える人守り実効性高めよ

勇気を持って告発した労働者を守る制度へと改善していくべきである。

企業や官公庁による不正について、組織内の通報窓口や、権限を持つ行政機関などに告発した内部通報者を守る公益通報者保護法を巡り、消費者庁は6日、改正に向けた素案を示した。

柱として、内部通報者に対し企業などが報復行為を行った場合、刑事罰を導入する方針を掲げている。

現行法では、通報を理由とした解雇や懲戒など不利益な取り扱いを禁じているが、罰則はない。このため抑止効果の不十分さや、報復の懸念が払拭されず通報に踏み切れない人がいる現状が指摘されている。通報者の人権尊重の面で国連からも勧告を受けている。

公益通報制度は、内部通報を起点に組織内の自浄作用による問題解決につなげることが目的だ。不正を訴えても守られなければ、声を上げる人は出てこない。制度を強化し、実効性を高めていく必要がある。

焦点となるのが、罰則の対象となる不利益な取り扱いの範囲をどうするかだ。

不利益処分は、解雇や減給、出勤停止などさまざまある。対象が広いと事業者の人事権を過度に縛り、狭すぎると通報者の保護が担保されないため、慎重に判断しなければならない。

保護する対象について、現行法では正社員と派遣労働者に限られているが、雇用関係にないフリーランスへの対応も含め、全ての働く人が守られる仕組みの構築を第一に検討を重ねてもらいたい。

制度の理解を広げる取り組みも不可欠だ。消費者庁の調査では、制度内容を知っていると答えた就労者の割合は4割に満たない。多くの企業で通報窓口が設置されているものの、非上場企業では担当者が指定されていないケースもある。各組織で労働者が声を上げやすい環境整備が急がれる。

一方、大企業を中心に公益通報に該当しない乱用的な通報や虚偽通報が、窓口担当者の負担になっている問題も顕在化している。制度が健全に機能するよう幅広い議論が求められる。

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