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2024年11月6日

危険な第4種踏切解消を

今なお全国に2千超
遮断・警報機なく事故絶えず

遮断機と警報機がない危険な「第4種踏切」での事故が後を絶たない。遮断機と警報機の両方がある第1種踏切に比べ、第4種は電車の接近を察知しにくく、子どもや高齢者などが事故に遭いやすい傾向にある。現状と対策を追った。

今年4月に死亡事故が起きた第4種踏切=10月30日 群馬県高崎市

女児が線路の向こう側にいた飼い犬を追い掛けて、踏切に立ち入った瞬間、悲劇は起きた。今年4月6日、群馬県高崎市内の踏切で小学4年生の女児が電車にはねられて死亡した。

現場には、棒で通行を防ぐ遮断機と、音と光で電車の接近を知らせる警報機がなかった。風や自動車が通り過ぎる音、犬の鳴き声など、多くの雑音が周囲に響く中、電車は前触れなく猛スピードで迫り来る。子どもが気付かなくても無理はない。地元の人は「危険を知らせる設備さえあれば……」とつぶやいた。

こうした第4種踏切は年々、減少しつつあるが、今なお全国の踏切の7%に当たる2367カ所に存在。第1種は91%を占める。

国土交通省によると、踏切100カ所当たりの事故発生率は、第1種の0.75件に対し、第4種は0.83件に上った。過去10年間を振り返っても、第4種で起きた事故は257件に上り、58人の命が失われている。

■課題は高い改修費や地域住民からの理解

国や自治体、鉄道事業者は、第4種の閉鎖、もしくは第1種化を急ぐが、次の二つの理由で難航するケースが多い。

一つは高額な改修費だ。ある自治体関係者は「第4種を第1種に転換するには数千万円の改修費がかかる。踏切を所有する鉄道事業者や、管理者である自治体の財政事情を考えると改修は現実的でない」と指摘する。

もう一つは、地域住民から合意を得ることの難しさ。閉鎖、第1種化のどちらを選ぶにしても、町内会など地域住民からの理解を得ることが不可欠になる。だが、「閉鎖されたら不便」「騒音になるから警報機を付けないで」など住民が反対する事例は少なくないという。

■国交省、補助拡充の方針

国や自治体は踏切の事故防止策を強化している。国交省は公明党の要望も踏まえ、2025年度予算概算要求に、第4種の第1種化など踏切を改善する鉄道事業者への補助制度の拡充を盛り込んだ。

同制度では、国が改修費の最大2分の1、自治体が最大3分の1を補助し、鉄道事業者の負担を軽減するが、この補助対象に、第4種踏切の安全対策を低コストで実施できる“簡易型”設備などを追加する方針だ。

簡易型では、歩行者だけが通行できる第4種に、手動で開閉できる遮断機などを設置して安全性を確保する。既にJR西日本などが導入している。国交省の担当者は「高額な第1種に比べ、簡易型なら数十万~数百万円で済む。線路を渡る際、歩行者に一時停止や左右確認を促す効果が期待できる」と話す。

■29年度末にゼロに

群馬県

今年4月時点で群馬県内には全74カ所に第4種踏切があったが、事故防止へ、県と市町村が一斉に対策を進めている。

県によると、10月末現在、閉鎖完了11、閉鎖予定7、第1種化予定5カ所となっており、残り51カ所についても住民との協議を継続中という。閉鎖と第1種化が難しい場合、簡易型の設置なども検討し、29年度末までに第4種踏切ゼロをめざしている。

■公明、安全対策を国・地方で推進

公明党は結党当初から、踏切事故の被害者や遺族らに寄り添い、国会・地方議員が連携し各地で踏切の安全対策を推進。第1種の整備や第4種解消に向けた地域の合意形成を推進してきた。

16年には、国の判断で鉄道会社などに整備を義務付けることができる改正踏切道改良促進法の成立に尽力。長年の取り組みにより、1965年度には4万を超えていた第4種の9割超が解消されたが、まだ残る。

今年4月に群馬県高崎市で起きた事故では、公明党の福重隆浩衆院議員、清水大樹県議、新保克佳市議が発生直後に現地を視察。市長や鉄道事業者とも面会し、第4種の解消を求めていた。

翌5月、福重氏が国交省に対し、低コストな簡易型設備の導入への支援を要請。8月には党国交部会が、第4種の第1種化などに向けた踏切整備の推進を同省に要望していた。

福重氏は「踏切対策は予算がかかるが、尊い人命に勝るものはない。二度と痛ましい事故が起きないよう、危険な第4種踏切の解消を全力で進める」と力を込めた。

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