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2024年11月5日

【主張】パレスチナ難民支援 UNRWAの活動継続が不可欠

中東では1948年のイスラエルの建国に伴い、住居を奪われるなどして難民となったパレスチナ人がヨルダン川西岸やガザ地区、シリア、レバノンなどに逃れた。現在、約600万人いるパレスチナ難民への人道支援を行っているのが国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)だ。

ところが、そのUNRWAが閉鎖の危機に追い込まれている。先月28日、イスラエル国会が国内でのUNRWAの活動を禁止する法案を可決したためだ。

問題は、パレスチナ自治区の東エルサレムを含むヨルダン川西岸とガザ地区もイスラエルの領土だとネタニヤフ政権の大半の閣僚が考えている点だ。従って、ヨルダン川西岸とガザ地区でもUNRWAの活動が禁じられる恐れがあり、看過できない。

この事態に日本がいち早く懸念を示したことは重要だ。日本は先月26日、英国やフランス、ドイツなど7カ国と共同声明を発表し、イスラエルにUNRWAの活動継続を求めた。同29日には林芳正官房長官が、各国と協力しながらイスラエルが可決した法案の執行停止をイスラエルに働き掛けていく意向を示した。

国連安全保障理事会も同30日、イスラエルと同盟関係にある米国も含む15理事国の全てが合意し、イスラエルに対して「UNRWAを解体・縮小する試みに強く警告する」と表明する報道声明を出した。

イスラエルはUNRWAがイスラム抵抗運動組織ハマスと一体となっていると批判しているが、国連の独立調査団は、UNRWAがハマスの要員を多数雇っているとのイスラエルの主張を裏付ける事実は確認できないと結論付けている。

ただ、ネタニヤフ政権の中でもスモトリッチ財務相やベングビール国家治安相などの極右の閣僚が、ヨルダン川西岸やガザ地区からパレスチナ難民を追い出し、ユダヤ人を入植すべきだと訴えており、このことがUNRWAを排除する動きにつながっている。国際社会は、そうした過激な主張も強く非難すべきだ。

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