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コラム「北斗七星」
きょう11月5日は、東日本大震災を教訓とするため、2011年に法律で制定された「津波防災の日」。また15年12月の国連総会において、満場一致で制定決議が採択された「世界津波の日」である◆由来は1854年にさかのぼる。旧暦11月5日、安政南海地震の発生時に、自分の稲むらに火を付けて暗闇の中で逃げ遅れていた人たちを高台に避難させて、大津波から多くの命を救った紀州の濱口梧陵という人物がいた◆この逸話をモデルにした「稲むらの火」の物語は戦前、国語教科書に掲載されたが、その元となったのは小泉八雲による英文著作。これが海外に伝わり、広く知られるようになった◆制定の翌16年から、国内外の高校生たちが日本に集い、自然災害の脅威や対策などを学ぶサミットも開催。高知県、沖縄県、和歌山県、北海道、新潟県に続き、今年は熊本県で開かれ、若い世代への教育や国際的な交流の場づくりが大会宣言に盛り込まれた◆高知新聞が県内の若者100人に聞いた調査で、将来への心配や政治に望む項目のトップは「南海トラフ地震」だったという。世界へ広げる横の連帯、次世代につなげる縦の連帯を強めながら、災害への対応力を高めていきたい。(祐)