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【主張】災害時のドローン活用 自治体と民間の連携体制が重要
被災地でのドローンの役割に注目したい。先月の大雨で甚大な被害を受けた石川県・能登半島北部でもドローンが活用されている。
例えば、国土交通省の緊急災害対策派遣隊(テックフォース)は、大雨で氾濫し、護岸の一部が崩れた能登町柳田地区の往古川の被害状況などを調査。土砂で埋もれ、人が立ち入ることができない場所は、ドローンを飛ばして上空から被害の様子を確認した。国交省はドローンによる調査結果を被災自治体と共有し、被災自治体が災害復興予算を国に申請する際に利用できるようにするという。
また、ドローンの普及に取り組む一般社団法人「日本UAS(無人航空機システム)産業振興協議会」(JUIDA)は石川県の要請を受け、輪島市下山町の孤立していた避難所にドローンを用いてパンやアルファ米などを届けた。
被災地において、人がたどり着けない場所での支援活動を可能にさせるドローンのメリットは大きい。公明党は、ドローンを活用して被災地の状況を早期に把握し、救急救命活動や復旧作業に役立てることを重要政策の一つに掲げている。
災害時にドローンを活用する上で不可欠なのは、自治体と民間のドローン関連事業者が連携協定を結んでおき、平時からドローンを迅速に活用できる体制を整えておくことだ。
災害が発生すると、負傷者の搬送や消火活動などでヘリコプターが頻繁に低空を飛ぶようになるため、被災地の上空はドローンの飛行を禁じる緊急用務空域に指定される。ただ、自治体の要請を受けた民間事業者のドローンであれば、緊急用務空域でも飛行可能だ。事前に連携協定を結んでおけば、災害時に速やかにドローンを活用できる。
また、政府は今年4月から、災害時に情報を共有して被災状況の全体像を把握する新総合防災情報システム(SOBO―WEB)の運用を開始している。自治体と民間のドローン関連事業者が、同システムを用いた情報共有を平時から訓練しておくことも重要だ。