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コラム「北斗七星」
東京電力福島第1原発の処理水放出に伴い、日本産水産物の全面禁輸を続けてきた中国。日中両政府はこのほど、この措置を段階的に緩和し、中国側の輸入を着実に回復させることで合意した。これまで大きな打撃を受けてきた北海道産ホタテの業界関係者は、今後の行方を見守っている◆年間約40万トンの水揚げのうち、中国向けは4分の1を占め、大半は殻付きのまま。欧米向けには衛生基準の面から殻むき加工が必須で、作業を中国に委ね人手不足を補っていた側面も。供給先を失ったオホーツク海や噴火湾沿岸の主産地では、「一国頼みのリスクがあったとはいえ……」と苦しい胸の内も聞かれた◆公明党は、“現場の声”を国の支援策に反映。海外販路を開くプロモーション事業や、自動殻むき機の導入支援などが盛り込まれた◆これにより、最新鋭の大型加工場が道内各地にお目見えし始めた。今年8月の道産ホタテの輸出量や額は、前年同月比でベトナム、タイなど東南アジア諸国が激増し、米国向けも倍増。販路の多角化は着実に進行している◆中国による輸入再開の時期が見通せない中、同じ轍を踏んではなるまい。“強い水産業”構築への取り組みを一歩ずつ進めていきたい。(武)