公明党トップ / ニュース / p370271

ニュース

2024年9月25日

全ての人へ安心もたらす社会に(下)

公明党2040ビジョン中間取りまとめ(総論全文) 
党2040ビジョン検討委員会

「2040ビジョン」の策定へ議論を続けてきた党検討委の初会合=2022年12月22日 衆院第2議員会館

〈改革構想2〉単身者が生きがいを持って人生を全うできる社会を実現する

○すでに日本は単身世帯を主軸とする社会に変化していますが、社会保障など各種の制度には、いまだに「夫婦と子ども」世帯あるいは、「男性・正規社員、妻・専業主婦と子ども」を標準的な世帯とする考え方が根強く残っています。こうした家族観を前提とした既存の制度を再点検し、マイナンバーの活用も視野に入れつつ単身者の視点から見ても住みよい社会を構築しなければなりません。

○青年期→中年期→高齢期→晩年期のいずれの時期で単身者になったとしても、生きがいと安心感を持って生涯を全うできる社会の構築に総力を挙げます。単身者の孤独感、社会的な孤立を軽減するため、社会とのつながり、他者との関係構築をしやすい環境をつくり、孤独・孤立を防止します。また、単身者の経済的な安定を図るため、非正規労働者の処遇改善、賃上げなどの施策を拡充します。

○社会的なつながりが希薄になりがちな単身者への支援に関しては、申請主義ではなく公共機関などが積極的に働きかけるプッシュ型を基本とし、アウトリーチでライフステージごとに公的なサービスを受けられる一貫した支援体制を確立するため、「単身者支援トータルプラン」(仮称)の策定に取り組みます。

○単身者にとって住まいの確保が極めて切実な課題です。高齢単身者だけではなく、経済的に困窮している若年単身者も含め、誰もが住まいに困ることのない社会を築かなければなりません。高齢単身者の居住に関してはIoT(モノのインターネット)などデジタルを活用した見守り体制も整備します。

〈改革構想3〉若者、高齢者、女性、障がい者 全ての人が輝ける社会を確立する

○人口が減っていく中、「全ての人が自分らしく能力を最大に発揮し輝くことができる国」の構築が不可欠です。そのカギとなるのが働き方改革です。同一労働同一賃金の実現を通して従来の「正規/非正規」という概念をなくし、雇用形態によって賃金など労働条件に格差のない形で柔軟な働き方を可能にします。さらにデジタル技術の活用によって労働者が希望に応じてスキルアップし、より創造的な職域で活躍できるようにします。

○出産、育児、介護などライフイベントと仕事との両立を図るため、育児・介護休業など各種支援制度を拡充します。さらに男女間の賃金や採用比率の格差を是正し、女性役員比率の向上などを促します。多様化する働き方の中で、プラットフォーム就業者、フリーランスらに対する社会保険の適用を拡大するなどセーフティーネット(安全網)を強化します。

○AI(人工知能)やロボットなどデジタル化が高齢者や障がい者の就労や社会参加の拡大につながる社会をめざします。高齢者に関しては、年齢一律から脱却し65歳を超えても働ける社会の実現に向けて、包括的な支援、環境整備を推進します。希望すれば、いつまでも就業できる機会を確保・提供する仕組みを構築します。

○これまで見落とされがちだった再婚家庭にも光を当てねばなりません。再婚は婚姻全数の4分の1を占める(離婚は年間18万件、うち結婚5年未満の離婚が3分の1)という現状を踏まえ、再婚夫婦が子を持つ希望をかなえやすい環境の整備に取り組みます。

〈改革構想4〉全国どこでも命と健康が守られる社会をつくる

○「健康大国日本」をめざし、病気予防とともに生活の質を向上させる運動/リハビリの推進や、栄養、睡眠を改善する国民運動を展開します。自治体、地域社会で実施されている働き盛りの人や子どもの健康を守るための活動や、平均寿命と健康寿命の差である「不健康な期間」を縮小させるための活動を支援します。こうした取り組みの結果として社会保障費の抑制を促進します。

○全国各地の医療ニーズを把握した上で必要な医療者を確保しつつ、遠隔医療や訪問医療を組み合わせて、どこの地域でも命を守るための診療が受けられる総合的な医療プランを国に策定させます。プライマリーケアが確保できない地域に関しては医師配置を制度化するとともに、遠隔診療や訪問医療について自治体の取り組みを支援します。救急救命のためのドクターカーやドクターヘリなどの活用を円滑化します。

○医療の人手不足を補い、効率化によって医療給付費を抑制するため、オンラインによる診療や薬剤処方などDX(デジタルトランスフォーメーション)化を促進します。マイナンバーの活用、電子カルテの標準化などを後押しし、日本中どこでも質の高い、最適な治療が受けられる国をめざします。

○2040年へ向け介護サービスの需要は強まる一方ですが、深刻な人手不足で経営危機に直面し、閉鎖を余儀なくされる事業所も少なくありません。介護職が社会的にも経済的にも高く評価され、事業としての持続可能性を高めることができるよう、地域の特性に合わせた介護予防戦略が求められます。その一環として医療介護給付の「成果連動型民間委託契約方式」(PFS:Pay For Success)で得られた好事例の横展開や、公的サービスへの上乗せなどを促進し、「成長できる介護」をめざします。さらに複合的な問題を抱えている利用者への対応が正当に評価されるよう、介護報酬の適正化や介護人材の確保へ向けたトータルプランの作成に取り組みます。

○身寄りのない高齢者や単身高齢者らが安心して生活できるよう、住居確保を支援するとともに、支援員の配置やAIの活用などで見守りを可能にする仕組みをつくり、必要があれば医療や介護へ円滑に連携できるようにします。

○知的障がいに関する法的な定義がないことから、自治体による対応にばらつきがあり、軽度障がい者や境界圏の人々に十分に支援が行き届いていません。こうした現状を改善するため、知的障がい・発達障がいの定義を整理し、適切な支援が行われるよう環境を整備します。

〈改革構想5〉地域のつながり・支え合いで人口減少を克服する社会を構築する

○高齢者が住み慣れた地域で暮らせるよう住まい、医療、介護、生活支援などを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が2025年を目途に進められてきましたが、進捗状況にかなりの濃淡が生じています。特に人口急減地域を対象に同ケアシステムの現状に関して総点検を行った上で、市町村の垣根を越えて専門人材の相互融通や施設の共用などを都道府県主導で実施する「命を守る広域連携」(仮称)を創設するとともに、介護・看護・保育など幅広い分野で活躍できる資格制度の創設をめざします。地域の実情に合わせ、子どもや障がい者を含めた多様な機能の追加など各県独自の取り組みを後押しできるようにします。

○低年金者対策、生活保護制度との兼ね合いも視野に入れつつ、「住宅手当」の創設に取り組みます。

○技術革新を活用し、地域の規模や人口密度に応じて柔軟に対応できる自律分散型の社会インフラを構築し、日本全国どこでも高い生活利便性を享受できる「どこでもスマートライフ」の実現をめざします。

○移動手段に関しても、現行のサポートカーとスマート道路インフラにより、安全安心な交通インフラを維持します。

○外国人材に関して政府は2018年に総合的対応策を策定して以来、先般の「育成就労制度」創設など受け入れの枠組みを着実に拡充させてきました。近隣諸国との外国人材の獲得競争も激化していることから、日本が「選ばれる国」となるよう、外国人材の受け入れ環境の向上に取り組まなければなりません。

○これまで以上に外国人材の人権を擁護しつつ、労働者としてのみならず地域社会の構成員として受け入れ、共に生きがいを育み社会を形成していくことが重要です。こうした理念を明記した「外国人との共生社会基本法」(仮称)を制定し、関連施策の一元的な推進、安定的・継続的な財政支出を可能にし、自治体や企業、地域住民の取り組みを後押しします。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

定期購読はこちらから

ソーシャルメディア