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2019年7月31日

(解説ワイド)見直しへ議論始まる「懲戒権」

虐待の正当化を防止

菅義偉官房長官(中央)に提言を申し入れる石田祝稔政務調査会長(左隣)ら=2月19日 首相官邸

■(法務省報告書)民法の規定削除など3案提示

親が子を戒めることを認める民法の「懲戒権」のあり方を見直すため、法制審議会(法相の諮問機関)が29日から議論をスタートさせた。

山下貴司法相が今年6月、法制審に規定の見直しを諮問したことを受け、法務省が発足させた有識者研究会で論点を整理し、今月、報告書を取りまとめていた。法制審ではこの報告書を基に議論を行う。

民法では親権者について、820条で子の監護・教育権、822条で懲戒権を定めている。しかし、全国的に児童虐待を巡る問題が相次ぐ中、懲戒権が虐待の正当化に悪用されているとの指摘がある。

報告書では、見直しの方向性として(1)822条の懲戒権の規定を削除(2)「懲戒」の文言を改めて別の表現に置き換え(3)懲戒権の行使として許されない範囲をさらに明確化――を主な論点に掲げた【表参照】。

有識者研究会では、これらの方向性を支持する意見や、それぞれを組み合わせた見直しも考えられるとの主張があったことが報告書で紹介されている。児童福祉法等改正法で親権者の体罰禁止が定められたことを踏まえ、822条の規定について現状維持することも選択肢の一つとしてあり得るとの見解も示している。

削除する根拠については、懲戒権が監護・教育権に含まれるとの法的な解釈が存在する点を指摘。ただ、削除する場合は「正当なしつけもできなくなる」との懸念に応えることが必要とした。

また、懲らしめ、戒めるという文言を、例えば「しつけ」といった別の表現に置き換える場合は、「伝統的な懲戒の定義を再検討する必要もある」との意見があるとした。

懲戒権の規定を見直す場合は、子の監護・教育権を定めた820条の見直しも考えられる点を強調。教員の懲戒権を定めた学校教育法との関係を整理する必要性にも言及した。懲戒権の規定を残す場合は、体罰を加える懲戒権の行使は許されないことを明確化することが相当との意見も列挙している。

■公明、体罰禁止へ法改正リード

懲戒権見直しの背景には、今年1月に千葉県野田市で起きた小学4年女児の虐待死事件をはじめ、相次ぐ児童虐待の問題がある。

公明党は今年2月、政府に再発防止に向けた緊急提言を提出、提言内容は法律の制定や政府の施策など随所に反映されている。提言では、家庭内で「しつけ」と称した体罰が虐待につながっている実態を踏まえ、体罰禁止を法定化する必要性を指摘し、「しつけに体罰は要らない」との認識を社会で共有できるよう、政府を挙げて周知啓発に努めるよう要望。今年6月に成立した児童福祉法等改正法で、体罰禁止規定が明記された。

併せて、民法の懲戒権が、「しつけ」を理由に体罰などを容認する根拠にされないよう、あり方の見直しを提言した。

これを受け、児童福祉法等改正法では、懲戒権に体罰は含まれないことが明確化されるとともに、懲戒権そのものについて、2020年4月の施行後2年をめどに検討を加え、必要な措置を講じるとの規定が改正法の付則に盛り込まれた。

このほか、千葉県野田市の事件では女児の母親が父親からドメスティック・バイオレンス(DV=配偶者などからの暴力)を受けていた実態も踏まえ、DV対策を担う婦人相談所などと児童相談所が連携・協力するよう訴え、改正法で定められた。

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