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コラム「北斗七星」
「京都アニメーション」の放火事件は、海外のファンにも大きな衝撃を与えた。一方、新海誠監督の新作で劇場公開中のアニメ映画「天気の子」は、140の国・地域に配給されるという。今さらながら、日本のアニメ文化の発信力を実感する◆今回で100作目となるNHKの朝ドラ「なつぞら」も、アニメ黎明期の制作現場が舞台の一つだ。登場人物のモデルには、国産初のテレビアニメ「鉄腕アトム」を生んだ手塚治虫氏の下で活躍した女性アニメーターもいるとか◆くしくも今年は、手塚氏の没後30年に当たる。“漫画の神様”は、さまざまなジャンルで数々の名作を残しているが、長年にわたって読み継がれてきたライフワークが「火の鳥」である◆松山市の道後温泉本館に、その「火の鳥」をテーマにデザインしたラッピングアートが現れた。築125年を超える建物を保存修理して再生する「道後REBORNプロジェクト」の一環で、集客イベントを展開している◆報道では、京アニの作品に支えられたという声も多数聞かれたが、北斗子は自宅にあった「火の鳥」の数編を読み返した。古代から未来まで、ぐるりと俯瞰した壮大な物語の中で、時空を超越した永遠の生命の象徴として描かれている火の鳥。深いテーマを秘めた不朽の名作の力を改めて感じた。(祐)