ニュース
「核なき世界」若者の力で
37カ国のリーダーが広島・長崎を訪問
先月26~29日、広島と長崎で、核廃絶に向けた若手リーダーの育成をめざす「ユース非核リーダー基金」による1期生の研修会が実施されました。これには、米国、ロシアなどの核兵器保有国を含む世界37カ国から49人が参加。被爆の実相を胸に刻んだ参加者からは「核兵器のない世界を若者の力で」との決意があふれていました。
被爆の実相、胸に刻む
国連が初開催し30年まで継続、国超えた連帯と育成へ
ユース非核リーダー基金の1期生には、研究者、国際機関の職員など、将来、各分野での活躍が嘱望される若者が選ばれ、昨年12月から活動を開始。オンラインによる研修などで“学び”を深めてきました。被爆地での研修会は、今回が初開催となります。
26日には長崎市を訪れ、被爆者の講話を聞き、平和公園で献花を行いました。その後、長崎原爆資料館などを見学しました。
参加者「核兵器を過去のものに」
原爆ドーム前で地元ガイドから説明を聞く参加者=8月28日 広島市
28日には広島市で、昨年の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)でも被爆体験を証言した小倉桂子さんの講話を聞きました。ロシアのクセニヤ・ピールナヴスカイヤさんは、被爆者の生の声を聞き、「言葉を失い、怒りが込み上げてきた。核兵器を過去のものとしていくため、行動を起こしていきたい」と話しました。
講話終了後、小倉さんに駆け寄った参加者からは「あなたの話を聞いて“心のローソク”に灯がともった。多くの人にこの思いを共有していきたい」との声が聞かれました。その後、参加者は原爆ドームなどの被爆遺構や広島平和記念資料館を見学。ガイドを務めた地元高校生らの話に熱心に耳を傾けていました。
29日には、研修会を締めくくる国際会議が開催され、同基金の1期生らがまとめた「ユース宣言」が発表されました。同宣言には、被爆体験の伝承の重要性や、若者の政治・外交プロセスへの参加など、核兵器のない世界の実現に向けた具体的な提言が盛り込まれ、「核戦争が過去の遺物として二度と繰り返されることのない未来をめざして、全力で取り組む」との決意が記されました。
トルクメニスタンのシュクルゲルディ・ミラドフさんは、同宣言を指針として「私たち一人一人が、平和へのメッセージを広げていきたい」と語りました。
同基金のプログラムは被爆85年に当たる2030年まで継続し、計400人が参加する計画です。
平和の“種”日本から広げる
公明党核廃絶推進委員会 平林晃 事務局長(衆院議員)
公明党は「ユース非核リーダー基金」について国会で何度も取り上げ、その効果的な運用を後押ししてきました。私自身、核廃絶に取り組む広島の若者グループと交流する中で、若い世代が研修会に主体的に関われるようにしてほしいとの声をいただき、実現することができました。
現在、核廃絶に向けた国際的動向は膠着状態が続いています。しかし、被爆の実相を学んだ次世代のリーダーたちが、いずれ各分野の指導者となり、「核なき世界」への推進力になってくれることを確信しています。
こうした平和の“種”を植える活動において、唯一の戦争被爆国・日本の果たす役割は大きいと考えます。デジタル技術も活用し、平和教育や青少年交流で日本が世界に貢献していけるよう全力で推進してまいります。
ユース非核リーダー基金
核廃絶に向けたリーダー育成と、ネットワーク構築をめざす国連のプログラム。2022年に岸田文雄首相が、日本政府から国連へ10億円の拠出を表明し、創設された。1期生には64カ国から100人が選ばれた。