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【主張】災害情報の発信 具体的な防災行動につなげたい
台風が猛威を振るっている。国や自治体は、住民の具体的な備えや避難行動を促す情報発信に努めることが極めて重要だ。災害から命を守るため、分かりやすい表現で伝えてほしい。
台風10号の接近に伴い、気象庁は28日、鹿児島県内に暴風・波浪・高潮の特別警報を発表した(午後5時時点)。台風10号は29日にも九州に上陸し、日本列島を縦断するとも予測されており、各地で大雨や暴風などの特別警報が発表される恐れがある。雨風が強まる前に、早め早めに避難することが重要だ。
警戒レベルが最大の5に当たる特別警報が発表された時点では、すでに災害が発生している可能性が極めて高い。大雨などの注意報(警戒レベル2)の段階から避難の準備を進め、自治体から「高齢者等避難」(同3)や「避難指示」(同4)が発令されれば、速やかに避難を始めたい。
自治体は“空振り”を恐れず早期の情報発信を心掛けるとともに、住民が具体的な防災行動をイメージできるよう、伝え方を工夫してもらいたい。
河川の氾濫や土砂災害などの危険度を示す「防災気象情報」について、国は災害によってばらばらだった用語を統一する方向で検討している。情報を受け取る側に立って、シンプルな表現にすることが大切だ。
地震に関する情報では、8日に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表され、政府は1週間、水・食料の備蓄や避難経路の確認といった備えを呼び掛けた。
地震は台風などと違い、予知は難しい。今回の臨時情報も、事前避難などを求めるものではなかったが、中には“地震予知”と誤って受け止める人もいた。
政府は臨時情報を巡る自治体や企業などの対応を踏まえ、伝え方をどう改善するか検証する。臨時情報の仕組みを平時から住民に周知する方法なども含めて検討してほしい。
あす30日からは「防災週間」。いざという時の備えを家族や友人らと確認し合うきっかけにしたい。