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2019年7月27日

【主張】英国に新首相 「合意なきEU離脱」回避せよ

英国の与党・保守党の新党首に選出されたジョンソン氏が、メイ氏の後任の首相に就いた。欧州連合(EU)離脱を巡る混迷からの脱却へ、責任ある政治を進めてほしい。

強硬離脱派の代表格であるジョンソン氏は就任直後の演説で、EUからの離脱期限である10月末に「必ずEUを離脱する」と宣言した。

期限までにEUを円満に離脱するには、英議会で過半数の賛成を得られる離脱協定案をまとめ直す必要がある。

ただ、議会は強硬派、穏健派、EU残留派に分かれ、それぞれが譲歩を拒む。EU側も協定案の再交渉を拒否する姿勢を堅持しており、難航が予想されている。

難局を打開するには立場を超えて知恵を出し合い、互いに歩み寄る以外にない。新首相の指導力が試されている。

懸念されるのは、ジョンソン氏が「合意なき離脱」を辞さない姿勢を鮮明にしている点だ。

万一、無秩序な離脱となれば、物流や金融、安全保障などで、英国やEUに大きな混乱を招く。英予算責任局は、合意なき離脱で英国経済が来年末までに2%縮小すると予測している。混乱が広がれば、さらに落ち込む恐れがあるという。

影響は世界に及ぶことも改めて指摘しておきたい。国際通貨基金(IMF)は、世界の国内総生産(GDP)を0.2%超押し下げる可能性があるとしている。日本経済への影響も小さくない。

安全保障の面でも、双方のタンカー拿捕をきっかけに急速に悪化するイラン関係や、崩壊の危機にひんしているイラン核合意など、EUと連携して対処すべき課題が山積する。離脱問題が国際社会の足並みを乱すようなことがあってはならない。

8月下旬にフランスで開かれる先進7カ国(G7)首脳会議では、安倍首相がジョンソン氏と初めて会談する見込みだ。日本政府は国際社会と緊密に連携しつつ、「合意なき離脱」の回避を英国に説き続ける必要がある。

同時に政府は、「合意なき離脱」という万一の事態も念頭に置きつつ、進出企業や在留邦人へ丁寧に情報提供し、支援策に万全を期すことも忘れてはならない。

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