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【主張】イラン新内閣発足 融和的な外交政策で核合意再建を
イランでは、5月に欧米諸国との対立もいとわない保守強硬派のライシ大統領(当時)がヘリコプターの墜落事故で亡くなった。これを受け、7月5日に行われた大統領選挙の決選投票で、国際協調を重視し、欧米諸国との対話も模索する改革派のペゼシュキアン氏が当選、同28日に新大統領に就任した。
今月21日には、ペゼシュキアン大統領が指名した閣僚19人がイランの国会で信任され、新内閣が発足した。融和的な外交政策への転換を掲げる新政権の手腕に期待したい。
重要なのは、2015年に米国、英国、ドイツ、フランス、中国、ロシアの6カ国とイランが締結した核合意を再建できるかどうかだ。18年に米国のトランプ政権が一方的に離脱して以降、核合意は破綻寸前の危機に瀕している。
核合意では、核兵器開発につながる高濃縮ウランやプルトニウムの生産をイランにやめさせる見返りとして、経済制裁を解除することになっている。国際原子力機関(IAEA)は、イランの核合意の順守を確認していたにもかかわらず、トランプ政権は、オバマ政権の成果である核合意に反発して、それを全面的に拒絶し、イランに対する経済制裁を強化した。
その結果、イランの国内情勢が悪化し、当時の同国の大統領は穏健派の重鎮であるロウハニ師だったが失脚。保守強硬派の台頭を招き、ライシ政権は核兵器開発に転用可能な量の高濃縮ウランを生産した。この現状を打開せねばならない。
注目したいのは、イランの新政権の外相がアラグチ氏であるという点だ。同氏は核合意の履行を巡る首席交渉官でもあった。駐日大使も務めた経験を持ち、日本との関係も深い。
核合意を一貫して支持している日本政府は、合意再建への意欲を示しているイランの新政権の外交努力を後押ししたい。イスラエル軍とパレスチナのイスラム抵抗運動組織ハマスとの戦闘で悪化する中東情勢を安定化させるためにも、新政権の融和路線が重要だ。









