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コラム「北斗七星」
15年以上前になるが、妻の実家のある熊本に子ども達を連れて帰省する際、ただ行くだけでなく、思春期前の息子二人と、途中で寄り道する帰省旅を何回か行ったことがある。経由地は広島や長崎◆広島では平和記念資料館前で折り鶴を付けた手作りの紙飛行機を配布している方がおられた。翌年の長崎では市中心部の宿が取れず、やっと取れた郊外の民宿は団体客でごった返していた。泊まったのは8月8日で翌日の平和公園での式典に参加する方たちと同宿していたのだが、その時は全く気付いていなかったのが恥ずかしい◆旅行後、原爆や平和のことを理解してくれる年齢になったと思っていた息子たちに感想を聞くと、お好み焼きなど食べ物のことが返ってきてずっこけた◆それでも数年後、高校、大学に進んだ息子たちから「あの時おやじは、原爆の悲惨さと平和の大切さを伝えようとしていたんだね」と言われ、少し救われた気持ちになった◆明日から広島、長崎の原爆、日本の敗戦と、平和を考える機会になる記念日が続く。人権教育の観点からも、日本がかつて経験した戦争の加害と被害、平和の大切さを家族で語り合い、人間の尊厳への思いを深める夏の日々にしたい。(唄)