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2024年6月17日

【主張】G7サミット ウクライナへの新支援策に注目

イタリア南部のプーリア州で開かれていた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は14日、議論の成果を示す首脳宣言を採択した。注目すべきは、年末までに約500億ドル(約7兆8000億円)規模の支援をウクライナに対して実施すると決めたことだ。

現在、ウクライナを侵略するロシア軍の攻撃は激しさを増している。民間人や民間施設を狙う攻撃も繰り返されており、ウクライナの民間人の死者が増加傾向に転じている。苦境に立たされているウクライナへの支援の手を緩めるわけにはいかないのが実情である。

しかし、欧米諸国など、ウクライナを支援してきた国々が“支援疲れ”の様相を呈しているのも、また事実だ。そこで、今回のサミットでは、ロシアへの制裁としてG7と欧州連合(EU)が凍結したロシア中央銀行の外貨準備(為替介入などの資金になる外貨建て資産)の利息などの運用益を、ウクライナへの支援に充てることで合意した。

G7とEUが凍結したロシア中銀の外貨準備は、総額で約44兆~47兆円に上るとみられる。このうち、円建て外貨準備は4兆~5兆円ほどだ。ロシア中銀の外貨準備は、日銀などロシア国外の銀行に預けられているが、凍結されているので引き出すことはできない。

一方、凍結したロシアの資産をウクライナへの支援に活用するのは国際法上、認められないとの指摘もある。そのため、ロシア中銀の外貨準備の元本には手を付けず、運用益から、ウクライナへの支援に必要な資金を捻出することにした。

とは言え、運用益で賄える資金は少額である。その上、侵略という重大な国際法違反を目の当たりにしているにもかかわらず、ロシアに制裁を科している国はG7とEU加盟国にとどまっている現状も、ロシアの横暴を許す要因となっている。G7は引き続き、中国やインド、ブラジルといった新興国に加え、中東やアフリカの国々も巻き込み、ロシアに圧力をかけていける環境の醸成に力を注いでいかねばならない。

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