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公平な解決一日も早く
山口代表 政府は誠実に対応を
原告以外にも補償へ
ハンセン病家族訴訟で首相謝罪 近く家族と面会
政府は12日、ハンセン病元患者家族への賠償を命じた熊本地裁判決について、控訴を正式に見送り、首相談話と政府声明を持ち回り閣議で決定した。安倍晋三首相は談話で、患者・元患者の家族が受けた苦痛に関し「深く反省し、心からおわびする」と表明。近く家族に面会して直接謝罪する意向を示すとともに、原告以外の家族も対象に補償措置を講じる方針を明らかにした。
ハンセン病を巡る訴訟では、2001年に当時の小泉内閣(所管は坂口力厚生労働相=公明党)が患者・元患者への賠償命令を受け入れた際に首相談話と政府声明を出しており、安倍首相はこれを踏襲した。
首相は談話で、過去の強制隔離を振り返り、「かつて採られた政策の下、家族に対しても極めて厳しい偏見、差別が存在したことは厳然たる事実だ」と指摘。「極めて異例の判断ではあるが、あえて控訴を行わない決定をした」と説明し、反省とおわびに言及した。
その上で「家族の皆さまと直接お会いしてこの気持ちをお伝えしたい」と表明し、熊本地裁が命じた計約3億7600万円の賠償を速やかに履行することを約束。同時に「訴訟への参加・不参加を問わず、家族を対象とした新たな補償の措置を講ずる」と明記し、原告に加わっていない家族の救済策を早急に検討する方針を示した。
原告団は12日、敗訴した20人についても控訴しない方針を明らかにした。
公明党の山口那津男代表は12日夕、北九州市で記者団に対し、ハンセン病元患者家族の差別被害に関して政府が同日、首相談話と政府声明を発表したことを受け、「元患者家族の苦しみを一日でも早く解消しようとする政治決断を高く評価したい。首相談話では、直接会って気持ちを伝えたいということなので、誠実にやり遂げてもらいたい」と見解を述べた。
また、政府が今後取るべき対応については、「確定する(熊本地裁の)判決に沿って、訴訟の当事者にかかわらず同様の状況にある家族も含めた公平な解決策を一日も早く政府としてつくり上げてもらいたい」と強調した。