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子どもの利益を最優先
成立した民法等改正法
離婚後「共同親権」選べる
大口善徳 党法務部会長に聞く
離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」を導入する民法などの改正法が17日の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立し、新制度が2026年までに始まる見通しです。改正のポイントなどについて、公明党の大口善徳法務部会長(衆院議員)に聞きました。
――改正の背景は。
家族のあり方が多様化する中、毎年、十数万人の子どもが父母の離婚に直面しています。養育費の不払いがあったり、親子の交流が適切に実施できなかったりするなど課題が指摘されていました。そこで「子どもの利益」を最優先に、離婚後も父母双方が子どもの養育に適切に責任を負うようにしました。
DV、虐待の恐れある場合、家裁が単独親権と判断
法定養育費、親子交流促す仕組みも
――ポイントは。
離婚後は父母のどちらかが親権を持つ「単独親権」に限定する規定を77年ぶりに見直し、父母双方が親権を持つ「共同親権」も選択できるようにしました。どちらを選ぶかは父母の協議で決めますが、合意できなければ家庭裁判所(家裁)が判断します。ただし、家庭内暴力(DV)や虐待の恐れがあるなど親権の共同行使が難しい場合、家裁は必ず単独親権としなければなりません。
養育費に関しては「法定養育費」を導入し、事前の取り決めがなくても別居親に最低限の支払いを請求できます。別居する親子が定期的に会う「親子交流(面会交流)」も、調停手続きなどの早い段階で家裁が試行を促す仕組みも設けました。
――意思決定のあり方は。
共同親権の場合、原則、子どもの進学先や引っ越しなど大事な事柄は協議して決めます。ただし、食事や身の回りの世話といった「日常の行為」や、緊急手術など「急迫の事情」がある場合、監護する親だけで決められます。政府は今後、より明確化させる方針です。
――DVの継続など不安視する声もあります。
公明党は不安の声に応えるべく国会でさまざまな質問をしました。その結果、家裁が単独親権と判断するDVには、怒鳴りつけたり、養育費を渡さないなど精神的、経済的に相手を追い込む行為も含まれることが明確になりました。また別居親が養育費の支払いを長期間、怠っていた場合、親権者変更でマイナスに大きく働くことも明らかとなりました。
公明、裁判所の体制強化を訴え
――公明党の主張は。
今後は、家裁が重責を担います。そこで公明党は国会審議を通じ、裁判所の体制強化を訴えました。その結果、最高裁は、家事調停に当たる「家事調停官」を弁護士から任命し、体制整備および機能向上につなげる方針を示しました。
――ほかには。
党法務部会として今年2月に行った政府提言の中で、子どもの意見が尊重されるよう、支援のあり方を議論する関係府省庁連絡会議の設置を提案しました。これを受け政府は会議を設置し、近く開催する予定です。今後も公明党は子どもの利益を確保する観点から、法律の運用を注視するとともに、制度のさらなる充実に取り組みます。