ニュース
コラム「北斗七星」
嫌な事件や事故のニュースが続く中、心和む話に巡り会うとホッとする。1カ月余り前に東京・池袋であった話がそうだ。特別支援学校に通うダウン症の16歳男子生徒の窮地を見知らぬ老夫婦が救った◆その日、彼は迎えの母と行き違い自宅方向とは違う池袋に。待てども現れない母を諦めて帰ろうとするが、ICカードの残高が不足。困り果てる姿に老夫婦が1000円札をそっと手渡す◆彼がそれでチャージを終えると老夫婦の姿は既になく、夜になって自宅に戻って来た息子から、いきさつを聞いた母が、直接会ってお礼をしたいと老夫婦を探している。そんなニュースだった◆聞きながらふと新聞で以前読んだ次の話を思い出した。知的障がいのある息子が通勤で乗っていた電車がアクシデントで止まってしまう。戸惑う息子から自宅の母に電話が入るが、要を得ない◆すると電話口に突然女性が代わって出て話を聞いてくれ、息子を別の電車に誘導してくれた。困り果てた息子を見ていた乗車客の女性だった。「涙が出るほどうれしかった」と母◆<呑気と見える人々も、心の底を叩いてみると、どこか悲しい音がする>。夏目漱石は『吾輩は猫である』で言う。だからこそ小さなぬくもりがあふれる社会にしたい。「小さな声を聴く力」を持つ公明党ならできる。(六)