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観光立国ニッポン 進むインバウンド
2カ月連続で300万人超
消費額 年間5.3兆円、円安追い風に
インバウンド(訪日客)が急速に回復しています。旅行消費額は2023年7~9月期以降、3四半期連続でコロナ禍前の19年同期を超え、このペースで進めば、今年は訪日客数、消費額ともに過去最高を達成する見通しです。“観光立国ニッポン”へ活気づく状況をまとめました。
日本政府観光局(JNTO)によると、2023年のインバウンド数(暫定値)は、前年比6.5倍の2506万6350人。過去最多だった19年(約3188万人)に対し8割程度の水準まで持ち直しています。
直近の調査では、24年4月のインバウンド数(推計値)は19年比4.0%増の304万2900人。春の桜シーズンによる訪日需要の高まりなどが後押しし、単月として過去最多となった3月に続いて300万人を超えました。
これに伴い、旅行消費額も大きく増えています。観光庁が今年3月に発表した23年のインバウンド旅行消費額は5兆3065億円。コロナ禍前で過去最高額だった19年(4兆8135億円)を超え、通年で政府が目標とする5兆円を初めて突破しました。1人当たりの旅行支出は平均21万3000円。宿泊費の割合が増えています。
昨年4月29日に新型コロナウイルス対策の水際措置を終了して以降、訪日需要が急回復したことに加え、円安や物価高が消費額を押し上げました。
■公明、一貫して推進
公明党は、自公連立政権下で、経済再生に向けた需要創出策として、観光振興の強化を訴えてきました。
政府は03年に「観光立国」を宣言するとともに、外国人旅行者の訪日を促進する「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を開始。06年に観光立国推進基本法が成立し、同法に基づいた国の基本計画が策定されました。07年8月には当時の国土交通相だった故・冬柴鉄三氏(公明党)が観光政策推進の司令塔である「観光庁」を設立する方針を正式表明。翌08年の同庁発足以来、政府全体で政策を推進する体制が整いました。12年12月から現在に至るまで、公明党出身の国交相が中心となり、観光振興策を進めてきました。
■石川へ「応援割」好評
7月末まで旅行代金50%割引き
復興を後押し
「フィッシュチップス、プリーズ?」。5月中旬、石川県金沢市の観光地「近江町市場」で海産物を販売している米田茂義さんが声を張り上げながら、訪日客に魚の干物の試食を勧めていました。「来る人の半分以上は外国人。営業中は英語やフランス語ばかりしゃべってるよ」
県国際観光課によると、昨年の外国人宿泊者数はコロナ前を上回る月があるなど訪日客は好調。同課担当者は、金沢市内だけでも、同市場のほか「兼六園などは、いつも多くの外国人でにぎわっています」と手応えを感じています。
こうした中、今年の元日に能登半島地震が発生。県内の宿泊施設ではキャンセルが続出しました。そこで観光需要を喚起して復興を後押ししようと、政府は北陸新幹線が延伸された3月16日、「北陸応援割」(第1弾=4月26日宿泊分まで)をスタート。訪日客を含む石川、富山、福井、新潟4県への旅行・宿泊者に対し、1泊当たり1人2万円を上限に、旅行・宿泊代を最大半額を割り引くもので、23万6273泊の利用がありました。被災地ボランティアなどの宿泊もあり、被災後も金沢市や加賀温泉では例年とほぼ同じ宿泊数を維持することができたそうです。
今月7日からは、石川県への旅行を対象に応援割の第2弾が開始(7月31日宿泊分まで)。予約は既に8万泊(8日時点)を超えています。県誘客戦略課の担当者は「石川県に泊まり、食事をしてもらうことで被災地の応援になります。応援割を使い、観光を楽しんでほしい」と語っています。
■地方への誘客に総力
斉藤鉄夫国交相(公明党)
観光産業は、日本の成長戦略の柱となる最重要の分野です。コロナ禍からの経済再生を推し進めるため、全国旅行支援などを実施し、着実に回復を見せてきました。一方、インバウンドの宿泊先の約7割は三大都市圏に集中し、地方での消費が少ないことが課題です。一部地域や時間帯で、オーバーツーリズムへの懸念も指摘されています。
こうした中、「第4次観光立国推進基本計画」を昨年3月に策定。①持続可能な観光②消費額拡大③地方誘客の促進――を柱として、25年までに19年(約3188万人)を上回るインバウンドの政府目標を掲げ、地方のモデル観光地への重点的支援などを進めています。持続可能な観光地域づくりを加速させ、日本経済を元気にしてまいります。