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【主張】線状降水帯の予測 精度高め早期避難に生かしたい
本格的な雨のシーズンを迎える。年々激しさを増す豪雨から命を守るため、新たなデジタル技術も総動員して災害対応に万全を期すことが重要だ。
気象庁は、局地的な大雨をもたらす「線状降水帯」が発生する可能性を12~6時間前に伝える「半日前予測」について、県ごとに細分化して発表する運用を28日から始める。住民の早期避難や自治体の的確な防災対応に生かしたい。
線状降水帯は前線などの影響により積乱雲が次々と連なって形成される。大雨がほぼ同じ地域で降り続けるため、土砂崩れや低地の浸水、河川の氾濫が起きやすく厳重な警戒が必要だ。
半日前予測はスーパーコンピューターを活用することで、これまで「広域」単位だった予測範囲を「都道府県」単位に絞って発表できるようになった。広い北海道や離島が点在する東京都などは、さらに細かく分けて予測する。
気象庁のホームページでは、半日前予測の情報が確認でき、実際に線状降水帯が発生するとレーダー画像(雨雲の動き)に赤い長円で表示される。浸水や土砂災害などがどこに迫っているか、危険度と共に地図上で示す「キキクル(危険度分布)」もあり、こうした情報を適切に活用したい。
ただ、予測には限界があるのも実情だ。昨年の「的中率」は4割程度だったというデータもある。気象庁は、半日前予測の範囲を5年後をめどに市区町村単位まで絞り込む方針だ。予測範囲と的中率の両方で、精度の向上に努めてほしい。
大切なのは、予測情報を避難指示や避難所の開設といった自治体の的確な判断につなげることだ。
この点、気象庁が委嘱して自治体に災害対応などを助言する「気象防災アドバイザー」の役割が鍵になろう。地元の気象予報士に加え、公明党の提案で気象台のOB・OGも対象となり、47都道府県全てで1人以上が配置されている。
地域の防災力強化へ党のネットワークを生かし、アドバイザーの活用を各市区町村まで広げていきたい。