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高齢ドライバー 認知機能検査 速やかに
予約受付コールセンター開設
受検の待ち日数短縮へ
実施場所を試験場や警察署に変更
免許更新時の混雑解消や講習の受け入れ拡大に期待
福岡県
予約受付コールセンターの事業内容について話を聞く党福岡県議団(奥8人)
福岡県警はこのほど、高齢ドライバーに義務付けられている認知機能検査の予約受付コールセンターを開設した。県警によると、こうしたコールセンターは全国でも珍しい取り組みで、注目を集めている。公明党福岡県議団(森下博司団長)は先ごろ、福岡自動車運転免許試験場(福岡市南区)を訪れ、担当者と意見交換した。
今年4月に東京・池袋で母子が亡くなった暴走事故や、6月に福岡市早良区で発生した多重事故など、高齢者の自動車運転による痛ましい事故が続いている。高齢ドライバーの交通安全対策を強化する観点から、現行の道路交通法では、75歳以上の人が運転免許証を更新する際には、高齢者講習を受講する前に認知機能検査を受けることが義務付けられている。
従来、認知機能検査と高齢者講習は自動車教習所で実施しており、高齢ドライバーは各教習所に直接予約するようになっている。しかし、近年、高齢者人口の増加に伴い検査申し込みが増え、予約が取りづらくなっている実情がある。
県警によると、県内の75歳以上の免許保有者は20万6696人(5月末現在)。平均待ち日数については、認知機能検査が32.6日、高齢者講習が27.5日(いずれも3月末現在)となっており、どちらも約1カ月待たされることになる。
そこで、県警は免許更新時の混雑解消や受検・受講の待ち日数の短縮を図るべく、認知機能検査の予約を一元的に受け付けるコールセンターを開設した。センターの電話番号は、免許更新対象者宛ての通知はがきに記載されており、電話して検査を受けたい日時や場所を伝えると、担当者が空き状況を照会し、予約を入れてくれる。受理状況は1日当たり約200件。
また、6月から福岡、北九州、筑豊の3地域では、検査の実施場所を運転免許試験場や一部の警察署に変更した。これまで検査を行っていた教習所の業務負担を軽減することで、高齢者講習の受け入れ枠を拡大してもらう狙いがある。なお、以前から検査予約が比較的取りやすい筑後地域は対象外。
さらに、検査の予約・実施状況を管理するシステムを導入し、県警とコールセンター、教習所の3者で情報共有し、業務の合理化が図られる仕組みも作られた。センターの運営は民間業者に委託し、総事業費は年約7000万円。
県警運転免許試験課の髙口一義課長補佐は「予約手続きにおける高齢ドライバーと教習所の負担軽減や、認知機能検査と高齢者講習の円滑な実施につながれば」と期待を寄せた。
意見交換の後、一行は場内を回り、認知機能検査を受ける高齢ドライバーの様子を見守った。同県議団の浜崎達也幹事長は「高齢者が関わる交通事故が多発している中、こうした検査がいかに重要であるか再認識できた。コールセンター開設の周知などを含め、高齢ドライバー対策の充実に努めていく」と語った。