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コラム「北斗七星」
沖合1.6キロに浮かぶ最大約190メートルの高さを誇る巨大風車が14基。“再生可能エネルギーの宝庫・北海道”の可能性を、あらためて実感させる威容といえる。今年1月、石狩湾新港で国内最大級の洋上風力発電所が本格稼働した◆駆け出しの記者だった30年ほど前。地域の厄介物である強風を資源にしようと、全国の自治体が知恵を出し合うイベント「風サミット」を何度か取材した。当時はまだ、売電事業など夢物語。時を経て風力発電は、脱炭素社会の実現へ確たる地位を築いてきた◆それでもなお、全国の発電量に風力が占める割合は1%に満たない。今後の伸びしろは十分だが、自然任せの不安定な発電を補う蓄電施設の整備、大消費地までの送電網の強化、とりわけ海を渡って道内と本州を結ぶ連系設備の増強などにはコストも時間もかかる◆一方、千歳市に建設が進む最先端半導体製造会社「ラピダス」のほか、大規模データセンターの道内進出も話題に。いずれも消費電力が大きく、再エネへの期待は高まるばかり◆地方でつくった電力をその地域で使えば、経済的で効率的。エネルギーの地産地消で新たな投資を呼び込み、地域活性化につなげる流れを着実に進めたい。(武)