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【主張】保護司の確保 人材登用へ公募制は選択肢に
現在、刑法犯として摘発される人の約半数が再犯者である。再犯防止は政府の重要課題であり、罪を犯した人に寄り添い社会復帰を支援する保護司は、その重要な役割を担っている。
しかし、民間の篤志家に頼っている保護司の確保が次第に困難になり、高齢化も進んでいる。
保護司が持続可能な制度になるよう、人材登用のあり方や待遇について実効性ある改革案の策定を期待したい。
改革論議は法務省の有識者検討会で昨年5月から続いており、今秋の報告書作成に向け先月末に改革案の中間報告がまとめられた。
特に、保護司の人材登用に関し、地域有力者でもある保護司の個人的人脈に頼った今の後任者探しから公募制への転換や、無給で実費弁償のボランティアではなく、報酬制と実費弁償の2本立てにすることの改革案が注目を集めている。
法相が委嘱する非常勤国家公務員(任期2年)の保護司は、社会復帰の専門家である保護観察官とも連携して、保護処分を受けた少年や仮釈放中の人が地域社会で更生できるように、月に2~3回、自宅に招くなどして指導や相談に当たる処遇活動と、犯罪予防などの地域活動を行う。
しかし、保護司から処遇活動の精神的負担感や、地域活動参加への時間的余裕のなさなどが現場の悩みとして上がっている。
中間報告が提起した公募制と報酬制も保護司からの声に応じた改革案だが、賛否の声も掲載されている。
例えば、高い使命感が要請される保護司だけに、後継者には人柄が分かっている人を探したいため、やはり人脈による方法がふさわしいとか、報酬制になった場合、ボランティアだからこそ言える言葉も掛けづらくなるとの意見もある。
また、▽社会的信望▽時間的余裕▽生活の安定▽健康で活動力がある―との保護司委嘱の条件が厳しすぎるとの声もある。
現状の長所を生かしながら、公募制や報酬制も選択肢とした漸進的な改革を進めてほしい。