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コラム「北斗七星」
プーチン大統領が1月、哲学者カントの出身地、ロシアのカリーニングラード(元ドイツ領)を訪問。学者らに、「カントが書いたことについて読んで掘り下げることは理にかなっています」と語ったと、ロシアのニュースサイトが報じた(1月26日配信「E―wave Tokyo」)◆きょう、生誕300年を迎えたカントは、フランスの思想家ルソーの著作『エミール』に衝撃を受け、「かつて私は(中略)無知の民衆を軽蔑していた。ルソーは私の誤りを正してくれた。目のくらんだ優越感は消え失せ、私は人間を尊敬することを学んだ」(『カントの生涯』石井郁男著)と告白した。そして「真実は、一般民衆の生活、人間の自然の姿である」(同)と◆著した『永遠平和のために』(宇都宮芳明訳)では、兵士について「人間がたんなる機械や道具として」国家に利用される、と訴えた◆いま、侵略戦争を仕掛けた張本人から「理にかなっている」などと評され、大哲学者もさぞ片腹痛かろう◆山口代表は国連総会議長と会談し、「国際秩序が大きく揺らぐ時代だからこそ、『人間の尊厳』に着目し、協調を旨とする国際社会を築くことが極めて重要」との認識を共有している(2月15日付本紙)。(三)