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2024年4月10日

【主張】ハンセン病意識調査 根強く残る偏見。早急に払拭を

ハンセン病に対する偏見や差別が根強く残っている実態が浮き彫りになった。国は深刻に受け止め、国民に対する学習・啓発活動をあらためて検証し、偏見・差別を払拭する取り組みを強化していかねばならない。

厚生労働省が初めて実施した、ハンセン病に関する全国的な住民意識調査の結果とその分析をまとめた報告書が3日に公表された。ハンセン病の元患者や家族への偏見や差別が「現存し、依然として深刻な状況にあることがうかがえた」と結論付けている。

調査は昨年12月にインターネットを通じて行われ、全国の約2万1000人から回答を得た。

ハンセン病は、らい菌により皮膚や末梢神経が侵される感染症で、1940年代に特効薬が登場した。だが、国は96年の「らい予防法」廃止まで、患者を強制的に療養所に収容する隔離政策を続け、患者や家族に対する理不尽な差別を生み出す要因ともなった。

国は過ちを反省し、元患者らの尊厳が守られるよう人権教育を進めてきたものの、調査では偏見や差別の意識を持っているとする回答が35.4%に上った。この結果は、元患者らが今も社会生活の中で差別的な対応を受ける恐れがあることを示すもので、憂慮すべき状況だ。

調査では、ハンセン病に関する正しい情報が浸透していない実態も明らかになった。国の強制隔離政策を「知らない」「あまり知らない」と答えた人は47.2%と半数近くを占め、遺伝する病気との誤った知識を持った人は14.6%いた。

報告書は、ハンセン病に関する「国の人権教育・啓発活動は市民にほとんど届いていない可能性がある」と指摘している。意外にも調査では、国の学習・啓発を受けた人ほど元患者らに抵抗感を示したり、ハンセン病に関する誤った考えを支持したりする傾向があったという。

国は、啓発資料の内容や教育現場での情報発信をはじめ、現在の学習・啓発活動のあり方について早急に見直し、改善すべきだ。

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