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【主張】消費税率引き上げ 社会保障の財源安定化に不可欠
きょう公示を迎えた参院選では、経済や外交など多くの課題について舌戦が展開される。中でも、与党と野党で明確に対立しているのが、消費税率引き上げの是非である。
景気腰折れへの懸念から、10%への引き上げは2回延期された。だが現在は、自公連立政権の取り組みにより、企業収益が過去最高を記録し、2%台の賃上げが6年続くなど日本経済の基盤は強化されている。10月からの引き上げは予定通り実施すべきだ。
改めて確認したいのは、税率引き上げの目的である。
2014年に税率が5%から8%に引き上げられた際、増収分の一部は基礎年金の安定化に充てられた。基礎年金の財源は半分を国が負担することになっているが、それまでは安定した財源がなかった。8%への引き上げにより、恒久的な安定財源を確保することができたのである。
10月に実施される10%への引き上げでは、増収分を社会保障の拡充に使う。幼児教育・保育など教育無償化を進め、保育士の確保といった子育て支援策を強化。また、低年金者の年金を最大で年6万円上乗せし、所得の低い高齢者の介護保険料を軽減する。
いずれも社会保障を全世代型に転換し、人口減少・少子高齢化という日本の最重要課題の解決をめざしたものだ。
これにより、国の借金である赤字国債の発行も抑制される。高齢化に伴って増大する社会保障の費用は、その多くを赤字国債に頼っている。10%への引き上げは、将来世代への負担の先送りを抑えるためにも重要だ。
増税による国民の暮らしへの影響を和らげる手だても欠かせない。
この点、公明党の強い主張により飲食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」が実施される意義は大きい。住民税非課税者と3歳半未満の子どもがいる世帯を対象に「プレミアム付き商品券」も発行される。
消費税率の引き上げは、与党だった民主党の呼び掛けに、野党だった自民、公明の両党が応じ、「社会保障と税の一体改革」として12年に合意したものだ。旧民主党の流れをくむ立憲民主、国民民主の両党が一方的に凍結や反対を訴えるのは、無責任である。