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2024年4月2日

コラム「北斗七星」

在学していた高校に劇作家で評論家の山崎正和さんが講演に来られたことがあった。45年程前である。テーマは室町時代の能作者、世阿弥の芸術について。高校生には、いささか難しい内容だった◆後年、山崎さんは、丸谷才一さんとの対談『見わたせば柳さくら』(中公文庫)で、世阿弥の能楽論『風姿花伝』にある「序破急」に言及している。それは日本の伝統芸能に共通する三段の構成形式。〈序〉は導入部、〈破〉は展開部、〈急〉は終結部を示すとされる◆しかし山崎さんは、序破急は漢詩の「起承転結」といった構成法でも、西洋ドラマのクライマックスを形成していく構造でもないという。「長い沈黙のあとにひとつの爆発があって、そのまま終るという」ような「二拍」のリズム、例えると桜の花であると説く◆つまり今か今かと待たせる長い〈序〉の後、〈破〉と咲き乱れ、〈急〉に散ってしまう桜花こそ、序破急の神髄であって、日本人が愛してやまない美の形式ではないかと。それは大相撲の立ち合いにも通じるらしい。ストンと胸に落ちた◆各地から桜の便りが届いて、心待ちにした花見シーズンの到来である。今度は、散るか散らぬかばかりが気になる日々だ。(中)

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