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2024年3月29日

24年度 政府予算のポイント

公明の主張が随所に反映

一般会計総額112兆5717億円の2024年度政府予算は、28日の参院本会議で可決、成立した。子育て支援策の充実のほか、物価高に負けない賃上げの実現に向けた取り組みなど、公明党の主張が随所に反映された。主なポイントを紹介する。

子育て
児童手当を高校生年代まで支給

児童手当の拡充(10月分から)

子ども・子育て関係予算として、前年度比4728億円増の5兆2832億円を計上。核となる児童手当の抜本拡充には、1兆5246億円を確保し、24年10月分から、①高校卒業(高校生年代)まで対象拡大②所得制限を撤廃③第3子以降は月3万円に増額――する。支給回数は年3回から年6回に変更する。第3子が加算を受けられる期間については、第1子の「高校卒業まで」から「22歳に達する年度まで」に延長する。

妊娠期から出産・子育てまで一貫して寄り添う伴走型相談支援と、妊娠・出産時に計10万円相当の経済的支援をセットで行うための「出産・子育て応援交付金」も624億円(前年度比254億円増)を盛り込み、恒久化を図る。育児休業給付には8555億円(同931億円増)を投じ、男性の育休取得者の増加に対応する。

保育サービスの充実では76年ぶりとなる保育士の配置基準の見直しなどに1兆6617億円(同669億円増)を充てる。保育士1人が見る4~5歳児の数について、現行の「30人」から「25人」に改善。併せて保育士の賃上げや処遇改善も進め、人手不足解消をめざす。

また、ひとり親世帯向けの児童扶養手当は所得制限を引き上げ、より多くの世帯が受給できるようにし、第3子以降への加算も増やす。

教育
大学授業料の負担軽減

高等教育無償化の仕組み

大学や専門学校など「高等教育の無償化」の拡充へ、前年度比127億円増の5438億円を措置した。給付型奨学金と授業料減免の対象を多子世帯や理工農系の学生の中間所得層(世帯年収約600万円)まで広げる。多子世帯は、年収約270万円未満の世帯への支援額(私立大生で年間最大約160万円)の4分の1、私立の理工農系は、文系と授業料の差額を支援する。

小学校高学年を対象とした「教科担任制」の強化や35人学級の計画的整備などに向け、義務教育費国庫負担金は前年度比412億円増の1兆5627億円。教科担任制の配置計画を1年前倒しし、24年度に完了させる。これにより、きめ細かな指導や専門性の高い授業実施による教育の質向上と教員の負担軽減を図る。

学校における働き方改革のためスタッフを充実させる予算も前年度と比べて30億円多い121億円に増額。教員が授業などの本来業務に集中できるよう、事務作業を支援する「教員業務支援員」の配置を拡大し、前年度の1万2950人から2万8100人へ増員し、全小中学校に配置する。

医療・介護
賃上げへ診療報酬など改定

医療や介護、年金に充てる社会保障関係費は前年度比8506億円増の37兆7193億円に上り、過去最高を更新した。

24年度は診療、介護、障害福祉サービス等の3報酬を見直す6年に1度の“トリプル改定”に当たる。具体的には、診療報酬では、医師や看護師、薬剤師らの人件費に当たる「本体」部分を0.88%引き上げ。このうちの0.61%分を医療従事者らの賃上げに充てる。介護報酬は、1.59%引き上げ、うち0.98%分を介護職員の処遇改善に充当する。障害福祉サービス等報酬は1.12%引き上げ。

このほか、認知症施策の総合的な取り組みへ、前年度比6億円増の134億円を計上した。

中小企業
取引適正化へ施策強化

下請Gメンの配置体制

中小企業の賃上げ環境を整えるため、適切な価格転嫁を促す施策を強化する。元請け企業と下請け企業との取引適正化に向けて、実態把握やトラブルの相談対応をするため28億円(前年度比4億円増)を措置。事業者への聞き取り調査を行う「下請Gメン」(取引調査員)を24年度に30人増員。330人体制にし、年間1万2000回以上のヒアリング実施をめざす。

中小企業も活用できる「キャリアアップ助成金」には1106億円(同277億円増)を計上。短時間労働者や派遣労働者らの正社員化や処遇改善に取り組む事業者を応援。リスキリング(学び直し)による能力向上支援には1468億円(同89億円増)を充てる。

災害対応、防災
能登地震受け予備費追加

能登半島地震を受け、当初の予算案を1月に組み替え、一般予備費を5000億円から1兆円に倍増した。インフラ復旧や被災者の生活再建など、1日も早い復旧・復興をめざした切れ目ない支援策を講じる。

防災・減災に向けては、公共事業関係費の6兆828億円(前年度比26億円増)のうち、国土強靱化関係予算として4兆330億円(同632億円増)を計上し、道路や河川を整備する。

204億円(同6億円増)を充ててスーパーコンピューターなどの新技術を活用した線状降水帯の発生予測精度を向上。頻発、激甚化する自然災害への対策をハード・ソフト両面で強化する。上下水道一体による効率的な取り組みに向けては30億円を確保する。

デジタル

行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を進めるため、マイナンバーカードの発行事務や申請サポートを引き続き支援する経費として454億円を計上。マイナポータルの利便性向上や行政サービスのオンライン申請機能などの充実も進める。

デジタル田園都市国家構想交付金として1000億円を措置し、地方の課題解決に取り組む自治体を支援。

このほか、デジタル基盤整備には507億円を充て、離島地域への支援を含めた全国津々浦々での光ファイバーの整備促進などに取り組む。

脱炭素

脱炭素化と経済成長の両立を図る「グリーントランスフォーメーション(GX)」に向けた官民のGX投資の促進では、ビルの壁面などに設置できるペロブスカイト太陽電池や設備を海に浮かべる浮体式洋上風力発電といった新技術の供給網構築へ、548億円を投じる。

二酸化炭素を排出しない水素を製鉄に生かす新技術を導入する鉄鋼業者らへの設備投資の支援には327億円を充てる。そのほか、電気自動車などに使われる蓄電池の製造基盤整備に2300億円を計上し、蓄電池のサプライチェーン(供給網)強化につなげる。

農林水産

2兆2686億円を農林水産関係予算として計上。食料安全保障の強化に向けた対策には、前年度比111億円増の395億円を充てる。収益性の高い野菜や国内で自給できていない麦や大豆などの生産を促進。輸入依存度の高い化学肥料の使用低減や飼料の国産化も進める。

政府が定める農林水産物・食品の輸出額目標の達成へ向け、102億円を投じて、輸出先国の多角化のための販路開拓などを支援する。

農業農村整備事業として3326億円を盛り込み、農地の大区画化なども推進する。

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