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2024年3月24日

賃上げの流れ加速

中小企業への波及に期待 
春闘賃上げ率5%超え 
第2回集計、33年ぶりの高水準に

今年の春季労使交渉(春闘)の集中回答では、昨年を上回る高い賃上げ水準で決着するケースが相次ぎ、今後、交渉が本格化する中小企業への波及に期待が高まっています。春闘を受け、日本銀行は19日、賃金と物価の好循環が確認されたとしてマイナス金利の解除を決めました。春闘の動向や中小企業の賃上げに全力を挙げる公明党の取り組みとともに、識者の見解を紹介します。

22日に連合が公表した春闘の第2回集計結果(回答数1446労働組合)によると、定期昇給を含む平均賃上げ額は前年同時期比4825円増の1万6379円、賃上げ率は1.49ポイント上回る5.25%となりました。最終集計との比較では、1991年(5.66%)以来33年ぶりの高水準となります。

賃上げ率は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせたもので、ベア分で見ると今年は前年同時期と比べて1.39ポイント増の3.64%。額では4668円増の1万1262円でした。

組合員数別の賃上げ率で見た場合、300人以上の大企業(669組合)が5.28%、300人未満の中小企業(777組合)も4.50%と、いずれも上昇。中小企業の賃上げ率は92年(5.10%)以来の32年ぶりの高い水準でした。

今年の春闘では、大企業を中心に満額回答や組合の要求を超える回答をする企業が続出しています。社会全体で持続的な賃上げを実現するには、こうした勢いを今後、労使交渉が本格化する中小企業や非正規労働者にも広げていくことが欠かせません。

■日銀、マイナス金利を解除

今年の春闘で賃金と物価の好循環が確認されたことを踏まえ、日銀は19日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和の一環として実施してきたマイナス金利政策の解除を決めました。日銀による利上げは2007年2月以来、17年ぶりです。

日銀は16年2月以降、金融機関が日銀に預け入れる当座預金の一部に、マイナス0.1%の金利を適用し、市場の短期金利(無担保コール翌日物レート)を0%以下に押し下げていました。今回の決定で21日からは金利を0.1%に引き上げ、短期金利を0~0.1%程度に誘導しています。

また、長期金利を低く抑える長短金利操作(YCC)を撤廃し、上場投資信託(ETF)の新規買い入れを終了する一方、国債の大量買い入れは当面継続することも決めました。

■公明、応援プランで後押し

中小企業・小規模事業者らの賃上げを促すため、公明党は昨年10月、支援策をまとめた「中小企業等の賃上げ応援トータルプラン」を政府に申し入れました。

同プランでは、価格転嫁しやすい環境整備や、公定価格で報酬が決まる医療・介護・障がい福祉分野の賃上げ、保育士の処遇改善、人手不足解消に向けた省人化・省力化に必要な設備投資への支援などを主張。これらは政府の23年度補正予算や24年度予算案に反映されるなど、着実に実を結んでいます。

公明党は政府と労働団体、経済界が賃上げなどを話し合う「政労使会議」の開催も推進してきました。自治体に加え、労働者、経営者それぞれの団体などが地域の実情に応じた賃上げなどを議論する「地方版政労使会議」の開催も強力に後押し。昨年12月から今月21日時点までに44都道府県で開かれ、残る3県でも月内に実施される予定です。

今国会でも公明党は論戦をリード。元請け企業が資本力の弱い下請け中小企業に対して、価格転嫁に向けた交渉をしないことや価格を据え置くことを禁止する下請法改正などを訴えています。

クレディ・アグリコル証券、チーフエコノミスト 会田卓司氏

持続的な景気回復が重要/デフレ完全脱却に向け正念場

大企業を中心として2年連続で大幅な賃上げが行われています。昨年は「物価高から生活を守る福利厚生的な賃上げ」、今年は「企業がため込んだ収益を還元する賃上げ」と見られ、決して内需が強くなって消費が回復した結果ではありません。特に、中小企業はコロナ後も苦しい経営の企業が多く、賃上げの流れを中小企業へと波及させていくためには、持続的な景気回復が欠かせません。

そのためには、政府が引き続き家計と中小企業に積極的な財政支援を講じて内需を喚起することが重要です。雇用の7割を占める中小企業がさらに苦境に陥ると個人消費が落ち込み、デフレに戻ってしまうかもしれません。まさに今がデフレ完全脱却への正念場です。

一方、マイナス金利の解除をきっかけに、低金利の融資や政府の支援を受けてギリギリの経営を続けている中小企業を“淘汰”すべきという論調すら出ています。

この“強者の論理”を止められるのは公明党であると期待しています。「中小企業等の賃上げ応援トータルプラン」を通じて中小企業を支えるメッセージを前面に打ち出している点を高く評価します。政府が6月に決定するとみられる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に、家計と中小企業への支援策としての十分な政府支出が盛り込まれるように推進してもらいたいです。

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