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2024年3月13日

【主張】スマート農業 生産水準の維持・向上へ普及を

人工知能(AI)やロボットといった先端技術を活用することにより、農作業の省力化や農作物の品質向上が期待できる「スマート農業」。日本農業の成長をけん引する切り札として、普及への支援を強化すべきである。

政府は8日、スマート農業の技術の普及に向けた新たな法案を決定し、国会に提出した。法案では、技術の活用を促すための基本理念と国の責務を定めるほか、生産者らが策定した実施計画を国が認定し、融資や税制面などで優遇が受けられるようにする。

わが国の農業は深刻な担い手不足に直面している。農業を主な仕事とする人は今後20年間で4分の1程度(約30万人)にまで減るという。多くの人手を要する従来の方式では生産水準を維持できず、食料の安定供給を確保することは困難だ。

解決には生産性向上と担い手確保が不可欠であり、スマート農業が果たす役割は大きい。公明党は、昨年5月と12月に行った政府提言で普及に向けた法制化や支援拡充を訴えており、法案の早期成立を期したい。

スマート化が進めば力仕事の負担が軽減され、女性や高齢者など幅広い人材の確保につながろう。気象や熟練農家のノウハウなど、栽培に関するデータの活用や伝承も可能になる。

政府は2025年に、ほぼ全ての担い手がデータを活用した農業を実践するとの目標を掲げるが、解決すべき課題は少なくない。

例えば、必要な機器や機械、サービスは高価格な場合が多く、価格の低減やリース(長期の賃貸借契約)も含めた普及方法の検討が求められる。農業経営の法人化による農地の集約と経営規模の拡大も重要だ。

高齢化が進む農業の現場では、新技術の導入をためらう実態が見受けられる。ITリテラシー(知識や活用する能力)を高める取り組みも必要である。

作物ごとに、使える技術に差があるのも課題だ。水田・畑作の分野は充実してきたものの、果樹栽培向けは少ない。技術開発を一層進める契機にしたい。

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