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便利で暮らしやすい町へ スマートタウンを推進
北海道上士幌町
北海道上士幌町は、地域の少子高齢化や、それに伴う人手不足などに対応するため、ICT(情報通信技術)を活用したまちづくり「スマートタウン化」を進めている。高齢者らの地域の“足”を確保する自動運転バスの定期運行をはじめ、ドローンを活用した荷物配送事業などを段階的に実用化。便利で暮らしやすい町へ、注目を集めている試みを追った。
交通や物流で実用化、少子高齢化対策にICT
日本有数の農業地域・十勝地方の北部に位置する同町は、東京23区より一回り広い面積の中に、約5000人が生活している。町の基幹産業である畑作では、法人を含む約160戸が1万ヘクタール余りの広大な農地を耕作し、平均すると1戸当たりが約70ヘクタールと大規模化が進む(陸上競技場の400メートルトラックの内側が約1ヘクタールに相当)。加えて酪農・畜産業でも広大な牧草地が広がっており、町役場や病院のある町中心部と周辺に点在する農村部の一体的な振興と、人口減少や少子高齢化に対応する新たな町づくりが課題となっていた。
自動運転バスを定期運行、配送にドローン、農業にも
自動運転バスについて意見交換する稲津氏(奥側左端)ら=昨年7月
そうした中で町は、ICTや人工知能(AI)、ビッグデータなどの先端技術を使った便利で暮らしやすい「スマートタウン」づくりに着手した。2017年10月に、公共交通の維持と高齢者らの移動手段の確保をめざし、電気自動車(定員11人)による自動運転バスの実証実験がスタート。オペレーターが交差点などでのみ手動で操作する「自動運転レベル2」が導入され、町役場や病院、道の駅などを結ぶ指定ルートを運行させた。その後、積雪や凍結路面での運行試験などを経て、24年度中には人の手が介在しない自動運転である「レベル4」での走行をめざし、関係機関への手続きを進めている。
町デジタル推進課の梶達課長は、深刻化するデマンドバスの運転手不足などに対応し、安定した交通サービスを提供できることを強調。「これまでの実証実験や定期運行で事故もなく、完全な自動運転でも安全性は高い」と話した。
一方、町の中心部から離れた農村地域への物流の効率化に向け、町は21年8月に産業ドローンの開発などを行う株式会社エアロネクストら関連企業と包括連携協定を締結。運転免許を返納した住民が“買い物弱者”とならないための手段として、ドローンを活用した配送サービスの実証実験を実施してきた。
現在は、個人宅へのドローンによる新聞配送に活用されている。同社の伊東奈津子執行役員グローバルCMO(最高マーケティング責任者)は、「一軒一軒の距離が離れているだけにドローン配送は非常に効率的」と語った。
ICTの活用に関しては、農業の現場でも進んでいる。町は、牛舎内の温度や湿度、不快指数などを数値で見える化するセンサー装置「ふぁーむログ」を開発。それを参考に換気扇などを作動させて、牛舎内を適切な環境に保つことで牛の健康管理に役立てている。町農林課の林峰之課長は、「ICTは農作業の省力化や生産性の向上には欠かせない」と述べ、町内の酪農家らが取り入れている搾乳ロボットなど、先端技術の積極的な活用を後押ししていく考えを語った。
19年度には、町内全世帯への光ファイバー敷設も完了しており、国のGIGAスクール構想で児童生徒に配備されているデジタル端末を活用した教育の充実に役立てられている。また、今後は町民の保健・福祉に関わるデータ管理などの連携が図られる見込みだ。竹中貢町長は、「先端技術を駆使することで、地方でも不便さを感じることなく生活できる」と力説した。
公明党は22年の参院選重点政策で、先端技術を活用したまちづくりの推進を主張していたほか、稲津久衆院議員らが昨年7月に同町を訪れ、持続的な交通体制の構築に向けた自動運転バスの運行について関係者と意見交換。稲津氏は、「自動運転バスは全国的にも地域の実情に合わせた導入への課題が異なる。地域の誰もが安心して暮らしていけるよう後押ししていきたい」と語っていた。












