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【主張】被災地の子ども 「安心感」与える居場所の確保を
被害が甚大な自然災害を目の当たりにすると、とりわけ精神的に大きなダメージを受けるのは子どもたちだ。能登半島地震の被災地で過ごす子どもたちの不安を少しでも和らげる環境を整えていきたい。
2011年の東日本大震災後に、文部科学省が被災地の子どもを対象に行った調査によると、小学生の18%、中学生の12%、高校生の9%で、不眠などが続く「心的外傷後ストレス障害」(PTSD)と疑われる症状があった。
能登地方の避難所は断水が続くなど、いまだ過酷な状況にある。気付かぬうちにストレスを抱えてしまう子どもたちが、できるだけ普段と同じように過ごせる「居場所」づくりは、PTSDなどを防ぐ意味でも重要だ。
認定NPO法人「カタリバ」は発災直後から被災地入りし、石川県珠洲市などの避難所に「子どもの居場所」を開設。地元高校生の協力を得て小学生らとカードゲームで遊んだり、学習支援などを行っている。こうした取り組みが広がるよう、後押ししたい。
身近にいる大人にしかできないことがある、としてユニセフ(国連児童基金)が発表した「災害時の子どもの心のケア 4つのポイント」も参考になる。
▽「安心感」を与える▽「日常」を取り戻すことを助ける▽被災地の映像を繰り返し見せない▽子どもは自ら回復する力があることを理解し、見守る――の4項目で、「『安らぎ』は『心のケア』の第一歩。あなたの力で子どもたちに『安らぎ』を与えてください」と呼び掛けている。
周りの大人が子どもたちに寄り添い、安心感を届けていきたい。
公明党は12日に対策本部が政府に行った緊急要望の中で、子どもの十分な心のケアや居場所の確保、教育再開の迅速化などのための官民連携による「支援チーム」の創設や、切れ目のない就学支援、オンラインなどを活用した学びの継続支援などを訴えている。
子どもたちの未来のために全力を挙げてほしい。