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賃上げと経済の好循環
日本経済は、長く続いた低成長から脱し、賃上げと経済の好循環を実現できるかどうかの分岐点にあります。その鍵を握るのは、雇用の約7割を占める中小企業の賃上げです。公明党が進める賃上げ施策について党経済産業部会長の中野洋昌衆院議員に聞きました。
答える人=党経済産業部会長(衆院議員) 中野洋昌さん
■Q 賃上げの現状は
■A 昨年30年ぶりの高水準も物価高にまだ追いつかず
アスカ なぜ今、賃上げが必要なの?
中野 1991年のバブル経済崩壊以降、海外先進国で賃上げが進む中、日本では約30年間にわたり賃上げが進みませんでした。背景には、日本の企業が賃金より雇用を守ることを優先したことや、コストを抑える低価格競争で利益を上げてきたことなどが指摘されています。
こうした「コストカット型経済」から抜け出せない状況が続く中、大きな変革のチャンスが訪れました。急激な物価高に押される形でしたが、力強い賃上げの動きが出てきたのです。この流れを何としても持続し、物価と賃金が共に上昇していく、経済成長の好循環を実現していきたいのです。
アスカ 賃上げの現状は。
中野 昨年の春闘では、賃上げ率3.58%と、30年ぶりとなる高水準の賃上げを達成し、中小企業に限っても3.23%となりました。ただし、まだ物価高には追い付いておらず、「実質賃金」はマイナスが続いています。国民が賃上げの恩恵を実感できる状況にはなっていません。
■Q 公明の取り組みは
■A 雇用の7割占める中小が価格転嫁できる環境整備
アスカ 公明党が推進した賃上げ施策は。
中野 賃上げの鍵を握るのは、雇用の約7割を占める中小企業です。公明党は昨年10月に「中小企業等の賃上げ応援トータルプラン」を提言し、その後、政府が打ち出した施策に反映されました。
重視したのは、中小が賃上げに向けて価格転嫁できる環境整備です。中小は取引上の立場が弱いため、賃上げの原資を確保できないことが少なくありません。そこで内閣官房と公正取引委員会が11月下旬、労務費を価格転嫁するための指針を策定しました。
この指針では、発注側企業への賃上げ交渉の材料として、最低賃金の上昇率や春季労使交渉の妥結額などが「合理的な根拠」になることを示しました。交渉に応じない発注側企業は、公正取引委員会が厳しく取り締まります。下請け現場の賃金が上がりにくい建設業とトラック運送業に関しては、適正な労務費が支払われるよう次期通常国会で法改正をめざしています。
■Q 今後どう進める?
■A 各施策活用へ周知徹底、“地方版”政労使会議も
アスカ 他には。
中野 中小企業の賃上げを後押しする支援策も多く実施されます。来年度の税制改正には、「賃上げ促進税制」の抜本強化が盛り込まれました。中小の6割強は赤字ですが、そうした企業も賃上げすれば、黒字化後に法人税の控除を認める「繰越控除制度」(5年間)を創設しました。
今年度の補正予算に盛り込まれた「中小企業省力化投資補助事業」では、IoT(モノのインターネット)機器やロボットなど人手不足に効果がある製品のカタログを提供し、企業が導入しやすい仕組みを新設します。最低賃金の引き上げに対応した中小の設備投資を支援する「業務改善助成金」も拡充しました。
アスカ 今後に向けては。
中野 まずは今年の春闘までに、中小の賃上げにつながる価格転嫁が進むかが勝負です。各施策が現場で十分活用され、実効性を発揮するよう周知徹底を図ります。
政府は昨年11月、経済界や労働界の代表者と賃上げに向けた課題を話し合う「政労使会議」を開催しましたが、その“地方版”を各都道府県で開催することも重要です。公明党の議員ネットワークを通じて、全地域で開催できるよう働き掛けていきます。











