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2023年12月20日

不妊治療 保険適用 年37万人超

厚労省の22年度レセプト分析 
体外受精や顕微授精など 
生殖補助医療が7割

2022年4月から不妊治療の保険適用が始まり、高額になりがちだった治療費が原則3割の自己負担で済むようになった。厚生労働省は22年度のレセプト(診療報酬明細書)の分析を先月公表し、保険診療の治療を受けたのは37万人を超えることを明らかにした。分析の概要などを紹介するとともに、公明党生殖補助医療に関する法整備等検討プロジェクトチーム(PT)座長の秋野公造参院議員に話を聞いた。

22年度の不妊治療のレセプト分析は、11月17日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で公表された。

これによると、不妊治療の医療費は約896億円。1人の患者が複数の医療機関を受診している場合でも「1人」として数えた実患者数の累計は37万3575人に上った。このうち体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を受けた人は26万9933人で、保険診療の患者の72.3%を占めた。人工授精を含む一般不妊治療は10万3129人、男性不妊治療は513人だった。

高額で、ためらっていた人の背中押す

一連の結果について、不妊に悩む当事者を支援するNPO法人「Fine」の松本亜樹子理事は「これまでは生殖補助医療が高額なことから、治療をためらっていた人が、保険適用により背中を押されて踏み出すケースが多く、数字に表れているのではないか」と指摘する。

一方、体外受精・顕微授精には治療開始時に女性が43歳未満とする年齢制限や回数制限があることから、松本理事は「分析結果を基に、年齢制限や回数制限の緩和などに向けて今後、議論を進めてほしい」と訴えている。

一定の効果、上げている
日本産科婦人科学会

不妊治療の議論をした中医協の会合には、日本産科婦人科学会が意見を提出している。同学会が理事らを対象に行った意見聴取で、保険診療により不妊治療全体が良い方向に向かっているかを尋ねたところ、「強く思う」「ある程度そう思う」と回答した施設は72.2%を占めたという。

回答理由には「患者の心理的抵抗感が減少」「経済的負担が軽減したことにより、若い患者が受診するようになった」「人工授精から生殖補助医療へのステップアップのハードルがある程度下がった」などが挙げられ、「不妊治療の保険適用は一定の効果をあげている」との見解が示された。

解析し“質”の向上へ
党生殖補助医療に関する法整備等検討PT座長 秋野公造 参院議員

党生殖補助医療に関する法整備等検討PT座長 秋野公造 参院議員

――不妊治療のレセプト分析の受け止めは。

保険診療による不妊治療の全体像が初めて明らかになった。それぞれの治療法で、どれだけの妊娠・出産につながったのか解析し、医療の“質”の向上へ今後の議論の材料とする必要がある。

――不妊治療への党の取り組みは。

公明党は25年以上前から不妊治療の保険適用を訴え、全国で署名活動を展開するなど、政府に一貫して働き掛けてきた。

一方、法的な環境を整えたのが、公明党が推進し、私が議員立法の筆頭提案者となり、20年12月に制定できた「生殖補助医療法」だ。それまで国内では、生殖補助医療の定義・理念を法律で裏付けるものはなく、この法律により、定義をはじめ、医療の安全性確保や女性の健康の保護、生まれ来る子どもの福祉などを盛り込んだ理念が定められた。

菅義偉首相(当時)が同年9月に不妊治療の保険適用を表明したのも、こうした公明党の長年の訴えと、法整備の動きが相まっての成果だ。

――第三者から精子・卵子の提供を受けた治療は現在、保険適用から除外されているが。

生殖補助医療法では、第三者から精子・卵子の提供を受けて出産した際の民法上の親子関係も整理しており、付則には、おおむね2年をめどに、精子や卵子・胚の提供またはあっせんに関する規制などに必要な検討を行い法改正するとした。厚労省は、こうした国会の議論が行われることを理由に、保険適用を見送っている。

今後、付則に基づく検討を行い、必要な法改正へ合意形成を図っていきたい。

不妊治療の保険適用

不妊治療の主な流れ

かつて不妊治療は原因検査や一部の治療しか保険適用されておらず、大半の治療が適用外だった。22年度以降は人工授精や体外受精、顕微授精などにも適用が広がった。自己負担額が高額になった場合、高額療養費制度も活用でき、月額の上限を抑えられる。保険適用外の治療も「先進医療」であれば、保険診療との併用も可能だ。

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