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新時代と公明党
SDGs主流化の推進力
誰一人取り残さない「人類益」重視の姿勢
ビル&メリンダ・ゲイツ財団日本常駐代表 柏倉美保子さん
ビル&メリンダ・ゲイツ財団日本常駐代表 柏倉美保子さん
――米マイクロソフト社の創業者のビル・ゲイツ氏が作った世界最大級の財団であるビル&メリンダ・ゲイツ財団。その設立理念や主な活動内容は。
柏倉美保子・日本常駐代表 ビル・ゲイツ氏とメリンダ夫人が婚約中にアフリカを初めて訪れた時、先進国では予防・治療できる病気で多くの子どもの命が失われている状況を目の当たりにした。二人は貧困問題の解決に財産をささげようと決め、2000年に「すべての生命の価値は等しい」との信念で財団を立ち上げた。
以来、マラリアやポリオ(小児まひ)の感染予防といった保健衛生分野に力を入れてきた。財団が資金提供し、日本政府が生みの親の一つとされる「エイズ・結核・マラリア対策基金」では、02年以降に2000万人の命を救ったと推計される。また、00年に設立された「Gaviワクチンアライアンス」には、財団が日本と他のパートナーと共に投資し、極度の貧困状態で暮らす7億人の子どもにロタウイルスや麻疹(はしか)などのワクチンを提供してきた。
日本には、17年に拠点を設置した。現在、日本政府や民間企業と協力し、発展途上国向けのワクチン開発などを支援している。
――地球を取り巻く、あらゆる課題の解決をめざして国連が掲げる「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に向け、財団も後押ししているが。
柏倉 SDGsのロゴマーク作成に携わり、毎年の国連総会の際に成功事例を広めるゴールキーパーズと呼ばれるイベントを開くなど、SDGsの認知度向上に努めてきた。30年までに「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「質の高い教育をみんなに」など17項目の目標が掲げられる中、特に「保健」分野に重点を置き、あらゆる人が健康的な生活を達成できる地球社会の実現に注力している。
――SDGsの達成をめざして、公明党も総力を挙げている。
柏倉 公明党は、どこよりも先にSDGs推進委員会を設置し、市民社会やNGO、企業など多様なセクターから意見を聞き、政府中枢への提言を重ねてきた。世界の先進国に先駆け、日本でSDGs推進が主流化する重要な流れをつくったと評価している。実際、SDGsには「世界の食料廃棄を半減する」という目標もある中で、公明党が主導して食品ロス削減推進法が成立した。公明党の推進力を発揮した成果だ。
SDGsの「誰一人取り残さない」との理念は、公明党が掲げる人間主義や、人類益を重んじる姿勢とも相通じる。SDGs達成に向けた取り組みの一環として、今後、公明党がますます国際保健政策を推進していくことを期待している。財団としても、SDGsをさらに推進し、途上国の人々の命を救うために、各方面の方々と力を合わせていきたいと考えている。
かしわくら・みほこ
ビル&メリンダ・ゲイツ財団初の日本常駐代表。責任投資業界、世界経済フォーラムを経て、17年より現職。ケンブリッジ大学MBA。