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「年収の壁」対策の助成金
希望者全員が利用可。書類の記載も簡素化
政府、相談体制強化へ
公明の推進で利便性向上
パート労働者らの収入が一定額を超えると配偶者の扶養から外れ、社会保険料の支払いで手取りが減る「年収の壁」。この対策として従業員の収入増に取り組む企業に支給される助成金について、各地の商工会議所による説明会が開かれるなど、現在、活用が呼び掛けられている。同助成金を含む支援策に関する国の電話相談窓口(0120.030.045)には、10月末の開設直後、1日で1000件以上の問い合わせがあり、今後、自動対話システム導入も予定されている。助成金のポイントと公明党が推進した取り組みを紹介する。
従業員の収入増後押し 1人最大50万円を企業に
この助成金は、公明党の提言を受けて政府が9月に策定した「年収の壁・支援強化パッケージ」のうち、従業員101人以上の企業で厚生年金・健康保険の加入対象となる「106万円の壁」への対策。手取りが減らないよう賃上げなどを行った企業に対し、10月からキャリアアップ助成金に新設された「社会保険適用時処遇改善コース」で従業員1人当たり最大50万円を助成する。
コースには「手当等支給」「労働時間延長」の両メニューがある。公明党が「希望する全ての人が使える制度に」と求めた結果、1事業所当たりの申請人数上限が撤廃された。活用する際は事業者が計画書を管轄の労働局かハローワークに提出するが、記載方法を記述式より簡素な、チェックボックスから選ぶ方式とするなど、公明党の提案を反映して事務手続きの負担も軽減されている。
中小企業の場合、手当等支給メニューの助成額は▽1、2年目に賃金(標準報酬月額・標準賞与額)の15%以上分を「社会保険適用促進手当」として追加支給すると20万円ずつ▽3年目に賃金(基本給)を18%以上増額すると10万円――となる。2年目に基本給を増額することで前倒し受給もできる。労働時間延長メニューでは、週の所定労働時間を4時間以上延長、または特定の時間延長と賃金増額の組み合わせで30万円を助成する。1年目に手当等支給、2年目に労働時間延長という併用も可能だ。
支援策で人手不足対応が一歩前進
日本スーパーマーケット協会
同助成金を含む支援強化パッケージを巡って日本スーパーマーケット協会の岩崎高治会長は「スーパーマーケット業界で働くパート労働者の時給は過去10年で20%ほど上昇している。年収の壁を意識した就労制限で人手不足が顕著になっている中、パッケージの提示は一歩前進だ」と評価。その上で「緊急対策にとどまらない税と社会保障の一体改革を」と述べるとともに、多様な働き方の推進なども求めている。