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【主張】改正旅館業法 悪質な迷惑行為に宿泊拒否も可能
13日に施行される改正旅館業法で、ホテルや旅館が悪質な迷惑行為を繰り返す客の宿泊を断ることができるようになる。
宿泊業界では以前から一部の客が従業員に威圧的な態度で迫るなどして、業務に深刻な支障をきたす「カスタマーハラスメント」が問題になっている。改正法の施行で、迷惑行為に歯止めがかかることが期待できよう。
厚生労働省は、宿泊拒否できる主な迷惑行為として▽従業員に対する宿泊料の不当な割引や慰謝料の要求▽泊まる部屋の上下左右に宿泊客を入れないよう要求▽土下座のような方法で謝罪を要求――を挙げている。いずれも常識的なサービスの範囲からかけ離れており、従業員を守るための宿泊拒否はやむを得ない。宿泊客のマナー意識の向上は良好な環境整備には欠かせない。
一方、迷惑行為に該当するかの判断が、宿泊施設側に全て委ねられているわけではない。特に課題となるのは、障がいのある人が宿泊する際の対応だ。
厚労省は、障がいのある人が適切なサービスや配慮を求めることは宿泊拒否の条件には当たらないと強調している。具体例として▽車いす利用者がベッドへの移動の際に介助を求めること▽視覚障がい者が部屋までの誘導を求めること▽身体障がい者が補助犬や介助者の同伴を求めること――が挙げられている。障がいを理由とした宿泊拒否は、あってはならない。
同省は不当な宿泊拒否があった場合に相談できる窓口を設置した。国は適切な制度運用に努めてほしい。
また、改正法は、感染した場合に命を落とす危険性のあるエボラ出血熱や結核といった感染症や、新たな感染症が発生した際には感染対策への協力を客に求めることもできるようにした。感染が疑われる正当な理由がある場合は、部屋での待機を求めることも可能となった。
長いコロナ禍を経て観光需要が高まっている。客と従業員の双方にとって快適な環境整備が必要である。