公明党トップ / ニュース / p328561

ニュース

2023年12月4日

【主張】ウクライナ地雷除去 日本の技術力生かした支援重要

日本政府は先月20日、国際協力機構(JICA)を通じて、世界に類を見ない最先端の地雷探知機である「ALIS」を50台、ウクライナに供与した。

ALISは金属探知機と地中レーダーを組み合わせた地雷探知機で、東北大学の佐藤源之名誉教授が開発した。ロシア軍がウクライナの各地に埋設した大量の地雷の除去に、日本発の技術が本格的に活用されることは重要だ。

地雷の発見には従来、金属探知機を使うが、地雷以外の金属片にも反応するため、掘り起こしてみたものの地雷ではなかったということが頻繁に起こる。

一方、ALISの場合、金属探知機が反応した物体の形状を地中レーダーで画像化し、持ち手に取り付けられたスマートフォンのモニターで確認できるため、地中の物体が地雷かどうか容易に見分けられる。

ALISは4月に4台、ウクライナに試験的に供与されており、実際に使用してみた同国の非常事態庁(SESU)の職員からは「画像が鮮明で、地中の物体が何かよく分かる」と好評だった。ALISを有効に活用してほしい。

ロシア軍は住居の敷地内や農地などにも地雷を埋設しているため、被害に遭うウクライナの住民も少なくない。対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)の成立に貢献し、1997年にノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)の「地雷禁止国際キャンペーン」(ICBL)が先月14日にまとめた報告書によると、地雷によるウクライナの民間人の死傷者は、昨年1年間で608人に上る。地雷除去作業員も、作業中に102人死傷している。

SESUの職員が1月に来日し、日本製のショベルカー型地雷除去機の実演を視察した際、「作業員の安全を確保できる」と評価していた。既に、日本の建機メーカーが、ショベルカー型やブルドーザー型の地雷除去機をウクライナに供与する準備を進めているという。今後も日本は技術力を生かし、ウクライナの地雷除去を支援していきたい。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

定期購読はこちらから

ソーシャルメディア