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日中友好「金の橋」強固に
信頼構築へ率直に対話
交流の促進、幅広い分野で
党訪問団の山口代表にインタビュー
公明党訪中団の山口那津男代表、西田実仁参院会長、鰐淵洋子国際局次長(衆院議員)、庄子賢一地方議会局次長(同)は22、23日の日程で北京市を訪問し、中国共産党中央政治局常務委員の蔡奇氏や、同政治局委員で外相の王毅氏ら要人との会談に臨みました。党訪中団の派遣は2019年8月以来、4年ぶり。今回の訪中の意義や成果などについて、山口代表に聞きました。(光延康治)
――訪問を振り返って。
山口那津男代表 今年は、日中平和友好条約締結45周年の節目の年です。今回は、訪中直前に日中首脳会談が行われ、公明党創立者である池田大作創価学会名誉会長の逝去が重なる中での訪中となりました。お会いした方々から名誉会長への深い哀悼の意が示され、名誉会長が築いた日中友好の「金の橋」の重みを改めて実感しました。
名誉会長は1968年9月、日中国交正常化を提言され、72年の国交正常化の道を開きました。74年12月には当時の周恩来首相と会見。この時の両氏の思いが結実したのが日中平和友好条約です。条約には「すべての紛争を平和的手段により解決」「覇権を求めない」といった基本原則が定められています。今回、条約の精神が再確認できたことは大きな意義があります。
蔡奇政治局常務委員(右)と握手を交わす山口代表=22日 北京・釣魚台国賓館(撮影・光延康治)
――要人会談での成果は。
山口 訪中初日に蔡氏と会談し、習近平国家主席宛ての岸田文雄首相の親書を手渡しました。蔡氏は習氏の最側近であり、公明党への配慮を強く感じます。
会談では日中首脳会談で再確認した「戦略的互恵関係」を踏まえ、蔡氏から自民、公明両党と中国共産党の「与党交流協議会」を再開させたいと提案があり、私も歓迎すると伝えました。
王氏との会見でも、与党間だけでなく、超党派の日中友好議員連盟、経済界、教育界など幅広い分野で交流を促進していくことを確認。中国共産党中央対外連絡部(中連部)の劉建超部長との間でも、青年交流を復活させたいとの認識を共有できました。
その上で私からは、人的往来の加速へ査証(ビザ)免除措置の復活を提案しました。
王毅外相(右)と会談する山口代表=23日 北京・人民大会堂(撮影・光延康治)
――日中には諸課題も多いです。
山口 だからこそ、首脳間を含む、あらゆるレベルでの対話継続が重要です。いずれの要人会談でも、日本側の懸念を率直に伝達し、意見を交わしました。
東京電力福島第1原発の処理水海洋放出では、科学的な見地に基づいた対応を求め、日本産水産物の輸入規制解除を要請。東シナ海の問題では、2008年の日中共同声明で東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの共通認識に立ち返り、防衛当局をはじめ、各種交流を通じた信頼醸成が必要だと訴えました。
――中国では反スパイ法違反の容疑で邦人拘束の事案が起きています。
山口 これは中国への投資意欲を減退させる一因になっています。拘束の理由が不透明なことも大きな問題です。こうした心配の声を伝え、早期解放と予見可能性を持った対応を求めました。
――ジャイアントパンダの貸与も話題でした。
山口 仙台市長から預かったパンダ誘致の親書を届けました。中国側から前向きな意向が示されたと認識しています。日本人が大好きなパンダが来ることは国民感情の改善に大きな効果をもたらします。特に仙台市は東日本大震災の被災地であり、実現すれば復興の励みにもなります。
――公明党が日中関係に果たす役割は。
山口 公明党には池田名誉会長が示してくださった「大衆とともに」の立党精神があります。公明党は政権与党ですが、日本政府の代弁者ではありません。引き続き、国民の声を聴き、その思いを対話を通じて中国側に伝えていく。そして両国の信頼を高めながら、あらゆる分野に「金の橋」を懸け、建設的で安定的な関係構築に役割を果たしたいと決意しています。
劉建超中連部長(左から4人目)らと記念撮影する党訪中団(右側4人)=22日 北京市内(撮影・光延康治)